公共事業をどの程度削減する?


 〈問い〉 日本共産党は「公共事業に五十兆円、社会保障に二十兆円」を逆立ち政治だと批判していますが、公共事業はどの程度削減するのが適当だと思いますか。削減しても中小建設業の労働者の雇用は確保できるのでしょうか。(東京・一読者)

 〈答え〉 日本共産党は、国民生活の向上と国・地方の財政再建を両立させるために、公共事業については「規模の半減」という長期目標を定め、年度を追って計画的に実現するよう提案しています。これは、公共事業の中身を現在のゼネコン向けのムダな大型開発から、国民の福祉・生活基盤を整備する中小規模の事業にきりかえながらすすめるもので、中小建設業者の仕事や雇用を確保することはもちろん可能です。

 たとえば、九七年度の公共事業を見ると、五億円以上の大型工事ではその九二%を資本金一億円以上のゼネコンが受注しています。逆に五千万円未満〜千万円以上、千万円未満の中小規模の工事では、それぞれ六八%、五九%を資本金五千万円未満の中小企業と個人業者が受注しています。

 また、工事費百万円当たりの就労者数を比較しても、五億円以上の大型工事で八・三人なのにたいし、五千万円未満〜千万円以上の工事で十六・二人、千万円未満の工事で十八人と、工事規模が小さくなるほど工事費当たりの就労者数が増えていきます。大型工事ほど機械化・自動化されているからです。

 これらのデータは、大型開発を大幅に削減することで公共事業の総額は圧縮しつつ、福祉・生活基盤向けの中小規模の公共事業を適切に増やすなら、中小建設業の仕事を増やし、そこで働く労働者の雇用を確保できることを示しています。

 国内総生産(GDP)にたいする公共事業の割合をサミット諸国で比較すると、日本以外の国は最大で三・一%(フランス)、最小で一・四%(イギリス)ですが、日本は八・七%で他国の三〜六倍にもなります(九六年度)。公共事業を半減してもまだ欧米の二、三倍になるわけで、中小建設業での雇用の確保にもつながる国民生活密着型の公共事業は、十分にすすめていけます。(理)

〔1999・11・28(日)〕



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