”日本の公務員は世界でも少ない”とは?


 〈問い〉日本共産党の第四回中央委員会総会(四中総)で、日本の公務員は、世界でも極端に少ないということが報告されましたが、具体的にどういうことでしょうか。その数字には地方自治体の公務員も含まれていますか。(新潟・一読者)

 

 〈答え〉 四中総報告は、サミット(先進国首脳会議)諸国のなかで、日本は、公務員(地方公務員も含む)による公的サービスが極端に少ない国であることをあきらかにしました。

 人口一万人あたりの公務員の数は、日本は三百二十一人ですが、サミット諸国でこれより少ないのは、カナダの三百人だけです。フランスは千六十二人で日本の三・三倍、イギリスは七百三十五人で日本の二・三倍、ドイツは六百七十八人で日本の二・一倍、アメリカは六百四十三人で日本の二・〇倍、イタリアは六百二十八人で日本の二・〇倍です(一九九四年。イギリスのみ一九九三年。OECD=経済協力開発機構の統計から)。

 このことは、日本の国民は、公務員による公的サービスを、ヨーロッパやアメリカの二分の一から三分の一しかうけていない、ということです。たとえば長期の深刻な不況のなかで、職業安定所を訪れる求職者は一九九〇年の百二十八万人から一九九七年の二百十二万人へと一・六五倍にもなりましたが、職安職員の定員は一万二千八百三十二人から一万二千八百四十三人へと、わずか十一人ふえただけです。このため、職安窓口では満足な相談もできない状況がつづいています。

 ほかにも、国民生活に不可欠な分野での人員不足は深刻で、ホームヘルパーは、介護を必要とする高齢者すべてにサービスを提供するには二十五万人の増員が必要です。保育でも待機児童の解消には約一万人が必要です。三十人学級の実現のためには七万人の教員が必要です。消防士は基準二十万人のところが十四万人で、六万人も不足しています。

 「行政改革」の名で公務員を減らすのでなく、国民の権利としての公的サービスを充実するために、生活に密着した分野で雇用を拡大することは、労働時間短縮による雇用拡大や、解雇・リストラ規制による雇用防衛とともに、重要な課題になっています。(幸)

〔1999・7・19(月)〕



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