戦前の特高警察とは?


〈問い〉 戦前、日本共産党を弾圧した特高警察とは、どのようなものだったのですか。(東京・一読者)


〈答え〉 特高警察とは特別高等警察の略称で、当時の天皇制政府に反対する思想や言論、行動を取り締まることを専門にした秘密警察のことです。

 明治天皇の暗殺を計画したというデッチ上げによって全国の社会主義者などを弾圧した大逆事件(一九一〇年)を機に、翌一一年、警視庁に特別高等警察課として設置されたのが始まりです。天皇制に批判的なすべての思想と運動を「犯罪」とする治安維持法の制定にそなえて、その前年の二四年に大阪、京都などにも増設され、さらに二八年には全国に配置されました。

 内務省警保局保安課の統括下におかれ、とくに民主主義の実現と侵略戦争反対をかかげる日本共産党の創立(二二年)以後は日本共産党を主な標的にしつつ、いっさいの民主的な思想や運動の破壊に狂奔しました。そのやり方は、拷問やスパイによる弾圧などまったく野蛮なものでした。

 たとえば日本共産党員やその支持者を逮捕すると残虐な拷問をおこない、党を裏切ってスパイになることを強要。屈しない者は、拷問で殺してしまうことがしばしばでした。また、日本共産党にスパイをもぐり込ませ、そのスパイに銀行強盗をやらせて日本共産党のしわざと大宣伝するなど、卑劣な謀略も常とう手段としました。

 このように民主主義とはまったく相いれない組織であるため、特高警察は終戦直後の四五年十月、日本の民主化を求める内外の世論のなかで、治安維持法などとともに廃止されました。

 しかし、現在の警察機構のなかの警備公安といわれる部門は、反動的な現体制の維持を目的に、日本共産党だけでなく市民のボランティア活動さえ監視の対象としており、特高警察の流れをうけついだものといえます。(論)

〔1999・3・8(月)〕



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