日本共産党

公共事業のための土地収用法の改定とは?

 2001年2月18日(日)「しんぶん赤旗」


 〈問い〉 公共事業を円滑に進めるために、土地収用法を改定する動きがあると聞きます。どんな動きなのですか。(神奈川 Y・W)

 

 〈答え〉 昨年十二月、建設省(現国土交通省)内に設けられた土地収用制度調査研究会が報告書をまとめ、それをもとづいて政府は今国会に土地収用法改定案を提出しようとしています。報告書が改定の必要性としてあげるのは、「公共事業のいっそうの効率化・迅速化の要請」にこたえることです。

 現在の土地収用の多くは、住民が反対しているムダな公共事業を強引にすすめるための手段となっています。その土地収用をいっそう「効率的」で「迅速」にしようというのが報告書の方向です。この間、東京・日の出町のごみ処分場に反対する住民に業をにやした石原慎太郎東京都知事が国に積極的に土地収用法「改正」を働きかけたことは、法改定のねらいがどこにあるかを端的に示しています。

 報告書は、収用対象の土地に権利者が多数いる場合、収用裁決申請に要する土地・物件調書への権利者の署名押印を、市町村長の署名押印だけで提出できるようにすることや、収用委員会が当事者の代表者を指名することができる制度などを提言しています。自然を大規模に破壊するダムや空港建設にたいし、市民が反対する手段として、予定地に小規模な土地や立ち木を取得するトラスト運動が全国で起きています。こうした運動は、地権者がないがしろにされることで、しにくくさせられます。

 報告書は、土地収用の公共性を認定する「事業認定」の「中立性、公正性の確保」をいい、第三者機関の設置などをあげています。事業認定の公正性の問題でいえば、何よりも検討する必要があるのは、事業認定を巨大公共事業の推進をはかる国土交通省の大臣がおこなうしくみを見直すとともに、住民参加による民主的手続きを保障することです。

(平)

〔2001・2・18(日)〕

 

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