予算案でIT関連を重視というが…?

 2001年2月1日(木)「しんぶん赤旗」


 〈問い〉 森内閣は来年度予算案でIT関連を重視したといっていますが、日本共産党はどう見ますか。(大阪・一読者)

 

 〈答え〉 「高度情報通信ネットワーク社会の形成に関する」、いわゆるIT関連の予算案の総額は、政府自身の集計で約二兆円、今年度の二一%増です。その限りで、この分野を「重視」した予算編成といえますが、問題は、これだけの金額をどう使おうとしているのか、その中身です。

 予算編成に際して各省庁は、これまでの浪費への反省もないまま、従来型の公共事業にITの看板をつけて概算要求を競い合いました。その結果、例えば国土交通省は、国道に沿って光ファイバー用の管路(下水管のような形状の共同溝)を張りめぐらせるために、来年度だけで千八百億円を計上しています。民間も使える管路の延長は、すでに国道関係だけで二万キロメートルを超えていますが、実際に民間に使われているのは、わずか千キロメートル程度です。その管路をさらにのばそうというのですから、まさに公共事業の浪費の構図の再生産です。

 IT予算で、「行政の情報化」(いわゆる電子政府の関係)の予算が半分を占め、情報設備への投資も巨額にのぼります。一方、国民があまねく情報通信の恩恵を受けるための予算は、テレビの聴力障害者むけ字幕付放送は前年並み、テレビ・ラジオの難視聴地域解消関連は、減額になっています。

 学校教育の情報化と称し、二〇〇五年までにすべての学級でコンピューターを使えるようにするための予算が計上されています。しかし、コンピューターが入ってもそれを活用できる通信回線が学校にはなく、通信料金への手当もされていません。また、コンピューターを生かした教育実践には少人数クラスの編成が不可欠ですが、政府は教員の配置増に本腰を入れる姿勢を見せていません。実際に使う環境を整備せずに機械だけ入れてもITの名に値しません。

 情報通信技術の発展は、経済や文化にも広範な影響をおよぼしており、民主主義の発展にも大きく寄与しうるものです。だからこそこうした小手先の「IT予算」ではなく、新技術の成果を国民に行き渡らせる観点からの本格的な予算を組むことが必要です。

(石)

〔2001・2・1(木)〕


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