日本共産党

地球温暖化防止国際会議の中断をどう見る?

 2001年1月 25日(木)「しんぶん赤旗」


 〈問い〉 昨年十一月の地球温暖化防止国際会議は、合意にいたらず中断しました。日本共産党は、これをどう見ますか。(新潟・一読者)

 

 〈答え〉 地球の温暖化は、当初の予測以上に深刻なことが指摘され(国連の緊急チーム・IPCC)、その防止は人類的な課題になっています。昨年の温暖化防止国際会議(ハーグ)の目的は、先進工業国の温室効果ガスの削減目標をとりきめた第三回会議(九七年)の議定書(京都議定書)の早期発効に向け、詳細な合意を得ることにありました。

 京都議定書は、IPCCの出した科学的な結論から見ると不十分ながら、初めて先進工業国の削減目標を決めました(二〇〇八〜二〇一二年までに、九〇年比で米国七%、日本六%、EU=欧州連合八%)。これにもとづき日本などが国内の二酸化炭素排出量を減らすには、削減目標に向けての具体的な国内対策の推進が不可欠です。ところが、日本やアメリカは、議定書に「抜け道」―目標を超えて排出する国が他国から排出権を買い取れる、植林も二酸化炭素の吸収源として認める等々―があるのを利用し、森林が自然に二酸化炭素を吸収するのを最大限あてこめるようにする等の案に固執したため、合意ができませんでした。また、原発の建設による途上国支援を日本の削減量にくみこむことも、温暖化とは別の悪影響をもたらすとして拒否されました。世界四位の二酸化炭素排出国であり、第三回会議の議長国でもある日本の責任は重大です。

 日本は、削減目標の半分以上(三・七%)を森林などの吸収源に頼る方針(地球温暖化対策推進大綱)を立て、具体的な国内対策推進を怠ってきました。しかし、政府が省エネの徹底や再生可能エネルギーへの転換を含め、国内対策に本腰でとりくむなら、六%の削減目標の達成は可能です。総合エネルギー調査会の資料(「新エネルギーの潜在性と経済性」)でも、日本の太陽光、風力、バイオマス(有機物利用)などの再生可能エネルギーの物理的潜在量が大きいことを示しており、小型水力発電など今後追求すべき可能性は多く残されています。

 京都議定書の発効には、先進工業国を中心に五十五カ国の批准が必要です。日本は、議定書批准はもとより、二酸化炭素の排出そのものを減らす国内対策に真剣にとりくみ、温暖化防止に向けて先進工業国のイニシアチブを発揮すべきです。

(龍)

〔2001・1・25(木)〕