日本共産党

政府が企てる確定拠出型年金の問題点は?

 2001年1月 20日(土)「しんぶん赤旗」


 〈問い〉 政府がいま導入しようとしている確定拠出型年金という制度は、どんな問題点があるのですか。(滋賀・一読者)

 

 〈答え〉 一月末からの国会では、確定拠出年金法案(日本版401K法案)が審議されます。昨年の臨時国会で継続審議となったもので、政府・与党は重要法案の一つと位置づけています。

 確定拠出年金は、新しいタイプの企業年金です。企業年金とは、国民全員が加入する公的年金(国民年金、厚生年金など)に、上乗せする形で、企業(もしくは企業連)が、労使の合意で導入するものです。生命保険会社の販売する個人年金と比べ、大幅な税制上の優遇措置が設けられています。

 現在、企業年金には、厚生年金基金と適格退職年金があります。これらは、確定給付年金といい、将来の“給付額が確定”しているのが特徴です。掛け金(拠出)は基本的に企業が負担し、拠出された積立金は年金資金として一括して株や債券などで運用されます。運用に失敗して積み立て不足になると、企業には掛け金を追加負担する責任があります。これに対し確定拠出年金は、“拠出が確定”しているのが特徴で、掛け金(拠出)の累計額とその運用収益が将来の年金額(給付)となる年金です。個人ごとに口座が作られ、個人の責任で運用します。運用に失敗すると年金額はカットされます。これでは老後の生活設計は狂いかねません。一方で、企業には追加負担する責任はありません。

 法案の背景には、バブル崩壊後の不況下で、年金資金の運用利回りが低下し、確定給付型の年金は積み立て不足となり、企業が追加負担を迫られている事情があります。この企業負担を回避する“切り札”として出してきたのが確定拠出年金です。確定拠出年金への移行で、企業負担抜きで積み立て不足をなくそうというのが、政府・財界のねらいです。低迷する株式市場への資金供給に利用しようとしていることも問題です。

 政府は昨年、厚生年金の給付カットなど公的年金の大改悪をしました。法案はそれに加えて老後の不安を高めるものです。急ぐべきなのは、このような法案ではなく公的年金の拡充です。

(丸)

〔2001・1・20(土)〕

 

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