日本共産党

人権教育・啓発法案に反対したのは?

 2000年12月13日(水)「しんぶん赤旗」


 

 〈問い〉 先の国会で成立した人権教育・啓発法に日本共産党が反対したのはなぜなのですか。

(佐賀・一読者)

 

 〈答え〉 先の国会で与党三党の議員立法として出され、成立した人権教育・啓発法は、社会的身分にかかわる不当な差別がおこなわれないよう、国民が人権尊重の理念への理解を深め、体得できるようにする、そのために国と自治体は「人権教育及び人権啓発」を推進するという法律です。

 一見、人権保障の充実を目的にした法律のように見えますが、法律の本質は、憲法の人権保障規定や国際的な人権条約とは無縁のものです。人権保障とその充実化を目的とする法律をつくるなら、何よりもその基準は憲法の三十条にわたる人権保障規定におかれるべきであり、その観点から大企業や権力による人権侵害の実態にメスを入れる必要があります。ところが、与党三党の法案は、実態として存在する種々の人権問題に正面からとりくむのでなく、問題を事実上「社会的身分」にかかわる差別問題にわい小化した上、国民は「差別意識」を持っている、だから国や自治体は人権尊重を国民に「理解」「体得」させる教育や啓発をすすめる必要があるとして、国民の心、内心に介入しようとさえしています。これは、憲法の思想・良心の自由、表現の自由などの人権を逆に侵害する危険さえ生み出すものです。

 もともと「人権擁護」に名を借りた新たな法律の制定は、「部落民以外はみな差別者」だとする立場から、各地でつるし上げ的な「差別確認・糾弾」「研修」をおこなって問題になってきた部落解放同盟(解同)が、要求してきたものです。「解同」は、同和対策事業がほぼ目的を達成し、終了した後も、引き続いて同和対策事業の利権を確保する思惑から、「人権擁護」を隠れみのにした法律制定を求め各党への働きかけを強めてきました。「解同」の利権あさりや「確認・糾弾」を助長する役割を果たすような法律は、人権に名を借りた反人権法案ともいうべきものです。

 日本共産党は、審議の中で、三党の法案がにせの人権法案であることをきびしく指摘し、法案に反対の態度をとりました。 

(龍)

〔2000・12・13(水)〕

 

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