教育改革国民会議の
道徳強化論をどう見る?

2000年10月12日(木)「しんぶん赤旗」


 〈問い〉 教育改革国民会議が道徳教育強化の提案をしていますが、どう見たらいいでしょう。(東京・一読者)

 

 〈答え〉 ご指摘にあるように、首相の私的諮問機関・教育改革国民会議は、九月に出した中間報告で、「学校は道徳を教えることをためらわない」として、小学校に「道徳」、中学校に「人間科」、高校に「人生科」を新設することを提案しています。

 この提案が具体化されると、道徳教育は、文部省検定の「道徳」教科書によってすすめられることになります。

 森首相は、国民を天皇の家来(臣民)としてつかえさせる道徳を説いた明治憲法下の「教育勅語」を、「時代を超えても普遍的な」哲学があるといって美化し、教育改革国民会議の議論のなかで「そういうようなことをもう一遍しっかりと子供たちが子供のころから教わっていける」ような教育改革の「あり方をぜひやってほしい」とのべてきました(五月十日、党首討論)。

 教育勅語は、「根本理念が主権在君並びに神話的国体観に基づいている」として、戦後の国会が排除・失効の決議をして否定したものです。その際、“勅語の一部には真理もある”という議論も、根本理念を認めることにつながるとして否定されました。

 森首相の立場で学校の道徳教育が進められるなら、「天皇を中心とした神の国」思想にもとづいて臣民道徳を説いた戦前の修身科を復活させることになりかねません。

 いま、自民党の金権わいろ政治をはじめ、政治、社会の道義の荒廃が大きな問題になっています。子どもだけに市民道徳を求めても、社会全体が道義的に荒廃していたのではどうにもなりません。

 日本共産党は、政治の腐敗をはじめ、社会の各分野での社会的・市民的道義の確立をよびかけるとともに、学校教育のなかでは、人間の生命や互いの人格の尊重、真実と正義を愛する心と暴力を許さない勇気といった、民主的な社会の形成者にふさわしい市民道徳を身につけられるようにすべきだと提案しています。(豊)

〔2000・10・12(木)〕


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