630兆円の公共投資計画の背景は?


 〈問い〉 十年余の間に六百三十兆円をつぎこむという政府の公共投資計画は、アメリカの圧力に屈した日本の対米公約の結果だそうですが、なぜそんな圧力があるのか、背景と意味を教えてください。(群馬・一読者)

 

 〈答え〉 いまの政府の公共投資基本計画のもとになっているのは、九一年度から十年間で四百三十兆円の公共投資をおこなうという公共投資基本計画です。

 この基本計画は、一九九〇年二月の日米構造協議に端を発しています。この協議でアメリカ側は、日米双方に原因がある貿易不均衡の問題を、日本の一方的責任で是正するよう迫り、GNP(国民総生産)の一〇%の公共事業をおこなうことを日本に要求しました。これは、「輸出につながる産業分野への投資より、公共分野に投資するほうが賢明」(マコーマック米国務次官=当時)だといって、日本の投資資金を国内にふりむけさせ、対米黒字を縮小させることや、日本の大規模公共事業へ米企業を参入させることなどをねらいとしていました。このアメリカ側の要求に屈する形で当時の海部内閣がつくりあげ、同年六月の日米構造協議で約束したのが、総額四百三十兆円という公共投資計画でした。

 現在の公共投資基本計画は、それまでの計画にさらに二百兆円を積み増しし、九五年度から十年間(その後、世論の批判を受け、十三年間に延長)に六百三十兆円の公共投資をおこなうという計画ですが、これも「日本の対外黒字の増加を考えれば、公共投資の目標の上積みが必要」(ウェジントン米財務次官補=当時、「日経」九二年七月十四日付)というアメリカの要求にこたえ、九四年十月、当時の村山内閣が決めたものです。

 公共投資基本計画は、国民の必要からではなく、”総額先にありき”で決められた、むだと浪費の奨励計画ともいえるもので、今日の財政破たんのみなもとになっています。

 日本共産党は、いまの財政を公共事業が主役でなく社会保障と国民生活が主役になるよう転換すべきこと、公共投資計画のような総額方式はやめ、国民が必要とする公共事業に重点的にとりくむようにすべきことを主張しています。(豊)

〔2000・1・27(木)〕



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