日本共産党

ヒトクローン規制法への態度は?

 2000年12月28日(木)「しんぶん赤旗」


 〈問い〉 先の国会でヒトクローン規制法という法律が成立しましたが、どういう法律なのですか。日本共産党の態度も含め教えて下さい。(愛知・一読者)

 

 〈答え〉 遺伝的に同一の生物・クローン動物(体細胞クローン個体)の作製は、イギリスのクローン羊「ドリー」の誕生(一九九七年)以来、クローン人間(ヒトクローン)の可能性と、その是非をめぐる議論をまきおこしました。

 ヒトクローン規制法は、人間の尊厳と社会秩序を守る立場から、ヒトのクローンや、ヒトと動物の雑種生物を作ることを禁止することを内容とする法律です。クローン技術を用いてつくった胚(はい)を人の胎内に移植することを禁止し、違反者を処罰(懲役または罰金)するとともに、クローン胚等の取り扱いを届け出制とし、国の指針で規制をすることにしています。

 「ドリー」誕生直後から、国際的にヒトクローンの問題が論議され、さまざまな国際機関が、ヒトクローン産生の禁止・規制を決議。イギリス、ドイツ、フランス等々、人工授精や体外受精など生殖医療全般を規制する法律のある国では、その枠内でクローン規制もおこなわれることになりました。アメリカは、クローン人間研究に政府予算を支出しないことにしました。日本でも、この問題が論議され、科学技術会議(首相の諮問機関)の報告を経て、成立したのがヒトクローン規制法です。

 日本共産党は、人が産まれる前から人為的に将来を左右されたり、事実上の人体実験がおこなわれたりすることは、あってはならないことと指摘。「クローン人間を産み出すことは人間の尊厳に反するものであり、禁止は当然」だとして同法に賛成しました。日本共産党は審議の中で、国民的議論と生命倫理にかんする教育の重要性を指摘。また、関連する問題として、「人の生命の萌芽」であるヒト胚の取り扱いの規制も検討すべきだと主張しました。ヒト胚の問題は、付帯決議で、法律の見直しをはかるという形でとりあげられ、法律に反映されました。

 近年、クローン技術、ヒトゲノム等の生命科学分野や先端医療技術分野の進展は急速で、社会とのかかわりも複雑になり、生命倫理にかかわって、国民的議論が必要になっています。政府関係者にはそのための十分な情報提供が求められます。

(市)

〔2000・12・28(木)〕

 

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