日本の子どもの現状についての国連勧告とは?

2000年 9月2日 (土)「しんぶん赤旗」


 〈問い〉 国連が日本の子どもの現状について、重要な勧告をしているそうですが、どんな勧告なのですか。(愛知・一読者)

 

 〈答え〉 国連の採択した子どもの権利条約(一九八九年、日本は九四年批准)は、批准国に定期的に実施状況を報告することを義務づけています。国連に設けられた子どもの権利委員会は、その報告を審査し、必要な提案や勧告をします。同委員会は、日本政府の第一回報告書にたいし、九八年に「日本政府への勧告」を出しました。勧告は、日本の子どもの権利について、二十二項目にわたる「懸念事項」をあげた上で、提案と勧告をおこなっています。

 〇極度に競争的な教育制度によるストレス、余暇・身体的活動・休息の欠如のため、子どもが発達上のゆがみにさらされている。過度なストレスおよび不登校・登校拒否を防止し、かつ、それとたたかうための適切な措置を取るべきこと、〇印刷物、電子メディア、視聴覚メディアの有害な影響、とくに暴力およびポルノから子どもを保護するために、法的措置を含むあらゆる必要な措置を取るべきこと、〇学校における暴力の防止、とくに体罰およびいじめを根絶するため、包括的なプログラムを開発すべきこと、〇子どもの権利条約の規定が子どもおよびおとなによって広範に知られ、理解されるように、大きな努力をおこなうべきこと。

 勧告は、そのほかにも、子どもの虐待からの保護、障害を持つ子どもの機会均等などについても重要な問題提起をしています。

 子どもの権利委員会が、日本のような発達した資本主義国にたいし、すべての子どもにかかわる教育制度などで、きびしい警告の文書を送ったのは、異例中の異例事です。それから二年たちましたが、日本政府は勧告をまともに実施しようとはしていません。

 日本共産党は、国連勧告の以前から、受験中心の詰めこみ教育を改める教育改革、暴力や性をむき出しにした映像文化から子どもを守る自己規律の確立などの国民的なとりくみを提唱してきましたが、勧告はその重要性を裏づけています。

)〔2000・9・2(土)〕

 

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