国立大の独立行政法人化での見解は?

2000年 7月2日 (日)「しんぶん赤旗」


 〈問い〉 国立大学をなくして独立行政法人化する動きがあります。この問題での日本共産党の見解を聞かせてください。(新潟・一読者)

 

 〈答え〉 中曽根文相が、自民党の提言を受けて、国立大学の独立行政法人化に向け「法令面での具体的検討に着手する」(五月二十六日)と表明するなど、国立大の独立行政法人化の動きがすすんでいます。

 独立行政法人とは、政府が行政組織の事務、事業を「効率的」におこなうために、独立行政法人通則法にもとづいて設立する法人組織です。「効率化、減量化」を口実に、職員の大幅な削減に道をひらき、人事や運営に政府が強く関与できるものです。日本共産党は、国立大学のような学術研究や教育を担う機関にはまったくふさわしくないと主張しています。

 文相は、国立大の独立行政法人化にあたって、通則法を直接適用するのでなく、大学の特性に配慮した「調整を図る」といっています。しかし、その「調整」も、独立行政法人制度を前提としたものであり、制度の本質を変えるものではないとみられます。

 国立大にこのような制度をもちこめば、大学の研究・教育は「効率性」の基準で左右され、基礎科学などの分野が切り捨てられるなど、学問研究の衰退をまねく危険が強まります。また、「業績が悪い」とされた大学は、国からの交付金が削られ、廃校になる危険が生まれ、学費の値上げも避けられなくなるでしょう。

 いま、国立大学の独立行政法人化にたいしては、国立大学の人文系、理学、農学系の各学部長会議、日本数学会や天文学会などの学会をはじめ、多くの大学関係者や研究者から、厳しい批判の声があがっています。

 国立大学への施策でいま大事なことは、独立行政法人化ではなく、GDP(国内総生産)比で欧米諸国の半分にすぎない教育予算を大幅に増額するなど、海外からも驚かれているような大学の教育研究環境の劣悪な状態を一刻も早く改善することです。これは、大学関係者、研究者がもっとも強く願っていることです。  (豊)

  〔2000・7・2(日)〕

 

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