地方の公共交通機関を守りたいが?

2000年 6月 17日 (土)「しんぶん赤旗」


 〈問い〉 私は、地方の中小私鉄で働いています。公共交通をどう守ったらいいか、不安です。日本共産党は、総合交通特別会計を提案していますが、その趣旨を教えてください。(富山・一読者)

 

 〈答え〉 中小鉄道は、過疎化とモータリゼーション(自動車優先政策)がすすむなかで、路線が次々に廃止されましたが、同時にこれらの鉄道の多くは旧国鉄のローカル線を守れという運動もあって、地元自治体などによって引き継がれ、かろうじて維持されてきました。そのこともあって、中小鉄道を含む地方交通の営業距離は、七五年度末の二千六百五十七キロメートルから、九七年度末の三千四百五十二キロメートルと、約一・三倍に伸びています。

 営業距離の伸びは、中小鉄道が地域社会に密着した輸送機関として、依然として重要な役割を担っていることを示しています。旧国鉄から切り離されたローカル線は、地元自治体などが参画する第三セクター鉄道として発足しましたが、第三セクター鉄道の九七年度の経営状況を見ると、三十五社中で黒字は七社だけしかありません。

 運輸事業の規制緩和で、中小鉄道を取り巻く環境はいっそう厳しくなっています。昨年の鉄道事業法の改悪では、事業者の判断だけで不採算路線や線区を自由に切り捨てることが可能になりました。

 日本共産党は、このような規制緩和路線に反対するとともに、中小鉄道を地域公共輸送機関として位置づけ、その存続・維持をはかることを含め、国土のつりあいのとれた発展に役立つ総合的な交通体系をつくる必要があると主張してきました。

 総合交通特別会計は、総合的な交通体系をつくるための財政面からの提案として、日本共産党が八〇年代から主張しているものです。一般会計、道路・港湾・空港の特別会計からバラバラに支出されている交通関係の支出を特別会計として一本にまとめ、道路偏重でなく、中小私鉄を含めバランスよく配分するというのが、その趣旨です。このことは、国の財政危機が深刻化するなかで、急務になっていると考えます。(阿)

〔2000・6・17(土)〕


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