2000年5月8日(月)「しんぶん赤旗」 

 「米価安定には減反しかない」か?


 〈問い〉 米価の安定のためには減反しかないという意見があります。日本共産党はどう考えますか。(福島・一読者)

 〈答え〉 たしかに、農産物の生産量が消費を大幅に上回る場合、価格を安定させるために生産を調整することは、一般的にはありうることです。

 しかし、いまの減反を、それと同列にみるわけにはいきません。実際、米価安定を理由に水田面積の三分の一を超える減反が毎年実施されながら、それでも米価下落がとまらず、この五年間で一俵(六〇キロ)約五千円も暴落しているからです。

 このことは、今日の米価下落の大きな要因が、国内生産と消費のアンバランスとは別のところにあることを示しています。

 米価下落の要因の一つは、政府が、WTO(世界貿易機関)農業協定を受け入れ、必要のない米を大量に輸入し続けていることです。すでに九九年までの五年間で三百万トン近くに達し、それが国産米を圧迫し、価格を暴落させているのです。この輸入をそのままに国産米べらしを強要するいまの減反は、農業つぶし以外のなにものでもありません。日本共産党が厳しく批判するのは、この点です。

 もう一つは、大資本による買いたたきです。新食糧法で流通が自由化されて以降、大手スーパーなどが安売り合戦を繰り広げ、生産者や卸売業者に生産コストを無視した安値を押しつけています。

 政府が、米価を市場にまかせ、買い入れ数量を極端に少なくし、取り引き価格帯の制限(値幅制限)を取り払ったことも、買いたたきをいっそうひどくしました。

 こうしたもとでは、「減反をやれば米価は安定する」という保障はどこにもありません。米価安定のためには、政府が無責任な米政策を転換し、買い入れ数量を大幅に増やし、値幅制限を設けるなど、下支えの仕組みをつくるべきです。

 それでも、米の生産調整が必要になる場合があります。その場合にも押しつけではなく、農家が自主的に転作できる条件を整備することによって他の作物に誘導すべきです。(橋)

〔2000・5・8(月)〕



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