2000年4月30日(日)「しんぶん赤旗」

日本の「ゼロ金利」政策とアメリカの関係は?


 〈問い〉 先の七カ国蔵相・中央銀行総裁会議でも問題になった日本の「ゼロ金利」政策は、アメリカの株高を支える役割を果たしてきたそうですが、どういうことなのですか。(長崎・一読者)

 〈答え〉 日本の「ゼロ金利」政策というのは、銀行など金融機関の間で、資金を短期(一年未満)で貸し付ける時の金利(コールレート、担保なしに翌日まで貸すもの)をゼロ%に誘導することをいいます。日銀は、昨年二月、コールレートを〇・一五%に引き下げることを決めました。貸す側の仲介手数料を除けば事実上ゼロ%になります。

 アメリカは、世界同時株安が起きた一昨年以後、国際投機集団・ヘッジファンドをはじめ、投機勢力を支援するため、金利の引き下げをおこないました。こうしたてこ入れもあって、アメリカでは、ハイテク株を中心に、株高が続いてきました。この株高を維持するには、外国、とくに日本からの資金をよびこむ(日本の金融機関がヘッジファンドなどに資金を貸すこと)必要があります。このためのてこになってきたのが、日本の「ゼロ金利」政策です。

 普通、資金を貸す側にとっては、金利が高い方が有利なため、資金は、金利の低い所から高い方へ流れます。アメリカにとって、資金をよびこむには、金利が日本より高い方が、有利です。一方、アメリカは、一昨年、相次いで金利の引き下げをしましたから、日本との間の金利差を維持するためには、日本の金利をもっと下げる必要があります。こうして、九八年以来、“日米共演”の金利引き下げ劇が展開されました。

 アメリカと日本の金利差をつねに四〜五%程度に維持するために、とうとう日本は、ゼロ%まで引き下げることになったのです。

 ゼロ金利は、日本国内の預金の金利を低くさせるので、国民から見ると財産(本来支払われるべき利息)を奪われるのと同じ結果になります。「ゼロ金利」政策は、アメリカに追従する日本の経済のゆがみをあからさまに示すものです。(豊)

〔2000・4・30(日)〕



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