2000年3月23日(木)「しんぶん赤旗」

 年金の国庫負担を高める国会決議とは?



 〈問い〉 年金財源の国庫負担を引き上げることは、国会の決議になっているそうですが、詳しく教えてください。(千葉・一読者)

 〈答え〉 国庫負担引き上げについての決議は、一九九四年の国会で、前回の年金法改定案が審議された時に全会一致で採択されました。

 前回の改定案は、羽田内閣が提出し、村山内閣が引き継ぎ成立を図ったもので、厚生年金(定額部分)の支給開始年齢の繰り延べ、保険料の大幅アップ、給付水準の引き下げなどを内容とする改悪案でした。

 当時、国庫負担を増やせという国民世論の前に、与党も国庫負担を見直す修正案を提案。日本共産党は、年金法改悪案には反対しましたが、修正案に限っては賛成しました。修正の結果、基礎年金の国庫負担について、法の付則で「平成七年以降において初めて行われる財政再計算の時期(九九年)を目途として――必要な措置を講ずるものとする」と明記され、付帯決議で「二分の一を目途に引き上げることを検討すること」がうたわれました。

 自自公政権が現在、強行成立をねらう年金改悪法案は、厚生年金の報酬比例部分の支給開始年齢を段階的に遅らせ、六十五歳支給にしてしまう大改悪案ですが、同時に、基礎年金(国民年金)のあり方について、「平成十六年までの間に、安定した財源を確保」した上でといういい方で、国庫負担引き上げを先送りしています。これは、九四年の国会決議に背くものです。また、「安定した財源の確保」の裏には、消費税引き上げも企図されています。

 現在、国民年金の第一号被保険者の対象者は約二千百万人ですが、実質の保険料納付者を示す基礎年金算定対象者数は千二百四十八万人であり、保険料納付率は五八・九%まで落ち込んでいます。国民年金の空洞化は、すべての公的年金の基礎を危うくするものです。

 国民年金の空洞化に歯止めをかけ、将来不安のない年金制度を確立するためには、日本共産党が提案しているように基礎年金への国庫負担を段階的に増やすこと、当面、国会決議にもとづきただちに二分の一に引き上げることが必要です。(俵)

〔2000・3・23(木)〕



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