日本共産党

2004年5月20日 衆議院 有事法制特別委員会 日本共産党 赤嶺政賢議員

有事関連法案 反対討論  大要

 私は、日本共産党を代表して、有事関連7法案・ACSA改定案に反対、ジュネーヴ条約第1・第2追加議定書に賛成の討論を行ないます。

 有事関連10案件は、昨年の「武力攻撃事態法」の枠組みにそって、有事法制を具体化するものであります。憲法と人権、日本の進路に関わる重大法案であるにもかかわらず、中央・地方の公聴会も行なわず、本委員会での審議を打ち切り採決を強行することは、断じて容認できません。

 反対理由の第一は、日本が攻撃を受けていない「予測事態」から、米軍に対する無限定かつ包括的な支援を可能とするものだからであります。

 アメリカは、単独の先制的な武力行使も辞さないとする先制攻撃戦略に基づき、国連憲章の平和のルールをふみにじってイラク戦争を引き起こしました。

 法案には、こうした米軍の行動に制約を加える仕組みはいっさいありません。米軍が、自らの判断に基づき、我が国周辺で先制攻撃を行なったとき、自衛隊・地方自治体・国民が官民挙げて米軍支援を行なうことが可能となるのであります。日本が攻撃を受けていないにもかかわらず、自衛隊が米軍に弾薬を提供することも、米軍が日本全土の空港・港湾を自由勝手に使用することもすべて可能になるのであります。

 まさに、憲法の平和原則を幾重にもふみにじり、米軍の戦争に参戦・協力する体制をつくるものであり、断じて認められません。

 第二は、「国民保護」の名の下に、米軍の戦争に国民を動員し、戦争協力に駆り立てる態勢をつくるものだからであります。

 地方公共団体・指定公共機関・事業者に戦争協力の「責務」を課し、消火や医療、物資の収用に罰則まで付けて動員する仕組みをつくり、平時から動員計画に基づく訓練・啓発によって国民の間に戦争協力の意識を醸成することが、憲法の想定する社会のありようと根本的に矛盾するものであることは明らかであります。

 与党・民主3党の共同修正は、「原子力発電所の破壊」や「航空機による自爆テロ」などを「緊急対処事態」と称して「武力攻撃事態法」に位置づけ、武力攻撃と同様の枠組みで対処しようとしています。

 この「緊急対処事態」なる概念自体がきわめてあいまいであるばかりか、事態の態様も対処の仕方も全く異なる事態を武力攻撃とひとくくりにして対処することは、市民生活のあらゆる面に有事体制を持ち込み、人権侵害を拡大するものであります。ましてや、自然災害にまで拡大するなどは、論外と言わなければなりません。

 ジュネーヴ条約第1・第2追加議定書は、国連憲章によって戦争が違法化されながらも、現実に発生する武力紛争において、紛争犠牲者を保護する国際人道法として積極的意義をもつものであり、批准に賛成するものであります。

 しかし、政府がこれを有事法制整備のテコとすることは許されません。関連の国内法整備は、米軍行動円滑化法案やACSA改定案などとともに、米軍の戦争への参戦体制づくりの一環をなし、「捕虜取扱い法案」など、自衛隊に各軍隊なみの権限・基準を付与しようとするものであり、反対であります。

 最後に、憲法違反の有事関連法案を断じて許さず、法案の廃案のため全力を尽くす決意を表明して討論を終わります。


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