バルコニーに看板を設置 管理組合で外させたいが

回答者 弁護士 中村宏さん(横浜合同法律事務所)


 

 築十五年のマンションで理事長をしています。共用部分であるバルコニーに看板を設置するなどの無秩序な使用方法がなされており、管理組合として何とかしたいのですが。(兵庫県・Y生)


 中村 看板とはどのようなものですか。
 ――不動産業者が「売室」という看板と電話番号などを記載した一メートル四方の看板を出しています。

 中村 規約ではどのような定めに?
 ――使用規則にバルコニーにおいて物置など物品を設置してはならないと規定されています。

 中村 バルコニーは共用であることから、その使用方法は、管理組合の管理・指導の下にあるものと考えられます。外観の問題や物の落下の問題もありますからね。それらを指摘して外してもらったらどうですか。
 ――しかし、それを業者の方に言うと住民が付けているBS、CSなどの受信用アンテナは放置して、なぜうちの看板だけを規制するのかと言うのです。

 中村 BSのアンテナはどのくらい出ているのですか。
 ――マンション自体に受信の設備がないので、ほぼ各戸とも出しています。

 中村 なるほど。不動産業者の方の言い分も自分のことを棚に上げてという感じがしますが、ただバルコニーの使用方法について十分な議論がなされていないまま今日に至っているように感じます。
 この問題を契機にバルコニーにおいて何が認められるのか、何が認められないのかを、一度しっかり議論したらどうでしょうか。
 ――営業用の看板と住民のテレビの受信の要望とは違うのではないでしょうか。

 中村 違うのは事実でしょうが、使用規則で区別していないと無理でしょうね。法律的には、テレビの受信のための衛星放送アンテナの設置もバルコニーに物品を設置する行為であることには変わりはありません。設置の仕方次第では落下などの心配もあります。
 判例では、無断で衛星放送用アンテナを設置したケースで、管理組合がアンテナの撤去を求めることができるとした例もあります。
 ただ、この点は規制一本やりで考えることはやめた方がいいでしょう。スポーツ番組や映画放送を楽しみたい方も多くいらっしゃいます。ケーブルなどの状況から共聴施設の設置が無理なケースもあります。
 検討された上でバルコニーにおいて現状では、アンテナ設置を認めざるを得ないという判断の場合は、その設置の仕様・構造についての使用規則を作成するなどして、規制の上でこれを認めることも必要であろうと思っています。
 看板やクーラー室外機などの設置も同様に、どこまで許されるか議論してみたらどうでしょう。理事会、総会でよくルールを話し合ってください。


(2002年05月15日)



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