資格者必要で不動産会社社長が管理から手を引くと

回答者 マンション管理士 千代崎一夫さん(ハウジングケースワーカー・住まいとまちづくりコープ)


 

 十二戸の小さなマンションの理事長をしています。不動産会社が管理していますが、先日の定期総会で社長が管理をやめたいと漏らしました。
 急にやめられては困るので、住民は引き留めました。八月一日に施行されたマンション管理適正化法により資格者が必要になり、社内にはいないのでマンション管理業からは手を引くことになるというのが理由でした。
 今までも決してよい管理をしてきたとは思えませんが、急にいわれても困ります。管理を降りるというようなことは、どのくらい前に予告すべきなのでしょうか。それと新しいマンション管理適正化法による資格者とはどんな資格ですか。
 (神奈川県・F生)


 千代崎 管理契約は管理組合・管理会社のどちらにとってもそんなに急な話では困ります。ですから、解除についての条件は、管理委託契約書に六カ月とか三カ月と決めている場合が多いと思います。組合側から解約するときには、特に管理をするための資料なども入手することが大切です。
 今回のマンション管理適正化法施行により総合的に管理業を営むためには、法にのっとった手続きとして「管理業登録」が必要です。不動産関係とよく似た仕組みになりました。適法な管理業者になるためには「管理業務主任」が必要で、一定の資産も必要になります。
 ここ一年間だけは今まで民間の資格であった「管理業務主任」という資格が、国で行う二時間の「移行講習」を受講すると国の資格の「管理業務主任」になることができます。
 今までの管理業務主任が会社にいればこのように簡単な講習で取得できますが、いなければだれかを受験させて資格を取らせるか、資格者を新たに雇わなければなりません。
 賃貸アパートの持ち主の代理で管理していることの延長で片手間にマンション管理もやっていたような会社では、管理委託費は上がらないのに手間だけは余計にかかることになるので、この際、手を引こうかと思っても不思議はありません。

 ――管理組合としてどう対応すれば…。
 千代崎 来年の四月三十日までは一定の規制はありますが、今まで通り登録を受けていなくても業務管理ができますので、今すぐ委託契約を解除しなければならない理由はありません。
 しかし、管理している会社にやる気がなければ、引き留めても仕方がないので、次の会社を探した方がよいと思います。じっくり探した方がいいので、理事会での話し合いはなるべく早く始められた方がよいと思います。


(2001年10月17日)



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