火事のときの対策と避難 住民として日常の備えは

回答者 一級建築士 三浦史郎さん(象地域設計)


 

 新宿の雑居ビルでの大惨事は、マンション五階に住んで十八年になる私たち家族を不安にさせています。いざというときのために、防火設備やその対策を教えてほしいのですが。(東京都・E子)


 三浦 大変痛ましい事故でしたが、避難できなかったことが大きな犠牲につながりましたね。亡くなられた方の多くは一酸化炭素中毒が死因と報じられています。
 あなたが体験した不安というのは。
 ――入居してすぐのころ、料理中に誤作動で警報が鳴り、ガスが止まってしまったことです。

 三浦 誤作動には困りますが、感度がよくないと警報機の役に立ちませんね。
 ――火が出たときに最初にすることは?

 三浦 自宅からの出火の場合は、あわてずに消火することです。初期消火用に家庭用消火器の備えは?
 ――一応持っています。入居直後、生協でまとめて買いました。

 三浦 入居十八年では期限切れです。取り替えの必要がありますね。
 もし初期消火に失敗したら、非常通報ボタンを押して火災を知らせることです。
 避難にあたっては、窓などを閉め忘れないように。マンションでは隣家に類焼しない構造になっていますが、窓が開いたままだとベランダの洗濯物や布団などを伝って上階に延焼した例もあります。
 ――わが家は玄関の近くに台所があるので、もし火元になったときは、廊下に出られないかもしれません。

 三浦 片廊下型のマンションの場合は、廊下側とベランダ側と二方向へ避難できるようになっています。避難するときは、隔て板を破って隣のベランダに避難します。そのためにもベランダを物置場にしたり、最近はやりのガーデニングで通れないと困りますね。
 ――それを調べるにはどうしたら?

 三浦 東京都内で三階建て以上の建物は、三年に一度防火設備や避難経路を調査して、区の建築課に定期報告しなければならないことになっています。
 ――うちのマンションでもやっているでしょうか。

 三浦 それは管理会社から報告を受けてください。指摘事項があったら共用部分の改善が必要な場合もあり、この場合管理組合の議決事項になることもあります。
 防火・避難のための器具・設備が整っていても、それを使うのは自分たちですから、マンションで防火(防災)訓練をしてみると、いつもは気がつかないことも見えてきます。
 マンション内の住民の交流を通して、いざというときにお年寄りのいる世帯など、助け合いができる環境・情報をつかんでおくことも大切です。


(2001年09月19日)



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