築27年で浴室の防水破れが心配。改修にはどうすれば

回答者 一級建築士 新井啓一さん (生活建築研究所)


 

 築二十七年で二百五十戸のマンション居住者です。浴室の天井にさびが出たり、なかにはふくらんだりしてきている住戸が数戸見つかっています。専有部分の防水が破れているのではないかと心配です。(千葉県・T生)


 新井浴室防水の改修はしましたか。
 ――一回もしていません。ただ正確な戸数は分かりませんが、ユニットバスに換えているところもあるようです。
 新井築年数と状況から見て、上階の浴室のコンクリート床の下面に吹きつけなどの化粧をして表れている、いわゆる直天井という構造で、その床に水が浸入して鉄筋を腐食させているとみて間違いなさそうです。排水管はどうなっていますか。

 ――天井の端に見えています。この浴室の防水は専有部分ですが、居住者に任せていていいでしょうか。
 新井その浴室の床は図のような断面で、防水排水管がコンクリート床(法定共用部分)を貫通しています。そのために、下階の居住者の協力が工事の必要条件になります。このような構造の場合は、住戸内部の仕上げ部位であっても、共用部分とみる方が実態にかなっていると思われます。管理組合で取り上げてもらい、いっせいに改修した方がよいでしょう。

 ――改修はどうすればいいのですか。また、現状の広さなどは確保できるのですか。
 新井まずは現状の正確な把握のための調査を実施し、その上で資金を含めた総合的な改修計画を練り上げる必要があります。
 工法は大きく二つに分かれています。再び防水を施工する現状継承工法と現在の部屋のなかにユニットバスを備え付ける方法です。
 前者を選択した場合は、規約の共用部の範囲に防水層を盛り込んでおいた方がよいでしょう。
 ユニット設置工法を選択した場合は、排水管を床上に変更し、管理区分は専有のままとして、居住者がユニットの内壁材などを自由に選択できるようにしておくことの方が合理的です。
 また、浴室の広さと天井の高さについてですが、前者はほぼ現状通りの寸法が確保できますが、後者は一回り小さくなります。
 工費は仕上げ材にもよりますが、防水工法で四十万円から五十万円、ユニット工法で五十万円から六十万円程度です。いっせいに行うことで工費の節約も期待できます。
 その他の工法にも得失があり、時間を掛けて総合的に検討し、居住者間の合意を図ることが大切です。


(2001年03月14日)



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