修繕は管理会社まかせに/でも対応よくありません

回答者 マンション管理士 千代崎一夫さん


 入居後17年の70戸のマンションで管理組合の理事をしています。そろそろ全体的に傷んできたので大規模修繕の時期かなと判断しています。どう進めたらいいでしょうか。

 今まではほとんど、管理会社の言うなりに修繕工事を進めてきました。任せておいて快適ならそれもよいと思うのですが、だんだん汚れてきています。開放廊下では水滴が落ちる個所もあるので指摘しているのですが、今ひとつ対応がよくありません。

 (東京都・B生)


 千代崎 いくつかの工事は進めてきたようですが、どんな工事をしましたか。また長期修繕計画はありますか。

 ――今までは廊下の床用の化粧長尺シート張り、ベランダ防水、鉄部塗装などを行っています。給水管のライニング(更生)工事もしました。

 この3年間ぐらい、特に管理会社が工事を企画し、どんどん進めています。長期修繕計画がどうなっているかよく分かりません。

 千代崎 工事が少しアンバランスですね。管理組合のきちんとした長期修繕計画がないと、修繕工事はその場しのぎになってしまいます。

 無計画だが修繕の必要性がある、というならまだましです。しかし少なくない管理会社が、たまった修繕積立金を狙って工事を企画してくるという悪循環になっています。

 ――そういえば、お金のたまり具合で工事が提起されているのではないかと、居住者の間で議論になったこともありました。

 千代崎 たまった積立金を狙って工事を企画してくるという側面のほかに、必要な修繕工事はあるのに資金が不足して着手できないという問題もあります。この場合、管理会社としては「今のお金では足りません」と言わなければならないのですが、管理組合との信頼関係がないと必要な提起もできない事態も生まれてきます。

 積極的に工事を直接受注するほか、ダミー受注、形だけの相見積もり(二つ以上の見積書を比べる)、競争入札を仕切って不当な利益を得ようとする管理会社もあります。

 ――実態は分かりました。うちの場合、どのように修繕計画を進めていったらいいのでしょうか。

 千代崎 建物の状態を把握し、当面及び中長期の維持管理計画を立てることが最初だと思います。管理組合で協力して行ってもよいのですが、今のような状態ではやはり信頼のできるマンション管理士や建築士などの第三者に依頼することが必要でしょう。

 その上で資金調達の方法も考えながら、区分所有者の方々と十分話し合っていったらいかがですか。

(「しんぶん赤旗」2004年10月20日)



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