防犯カメラ設置を望む直接の動機はなんですか

　築２８年の１３８戸の分譲マンションで、防犯カメラの設置をめぐって居住者の意見が分かれています。どう考えたらよいでしょうか。（東京都・Ｎ生）

　三浦　防犯カメラ設置を望む直接の動機は何ですか。

　──駅に近いマンションで、周りは飲食店が多く、夜遅くまで人通りが絶えません。駐輪場の自転車が壊されたり、ゴミ置き場に外から大量のゴミが持ち込まれたり、屋上に大量の吸い殻があったりします。その上、用もなく廊下をうろつく人がいて、住民からは不安の声が出ています。

　三浦　設置反対の方の意見は。

　──日常生活が監視されているようで、プライバシーが侵されると言うのです。

　三浦　反対の方は、設置の必要性は認めても、居住者のプライバシーが侵されるのではないかという危ぐから慎重なのでしょう。
　設置することで合意を得るためには、次のような点をはっきりさせる必要があります。
　まず、無人作動カメラの設置目的は、日常生活の監視ではなく、防犯用に限られるもので、プライバシーの保障に細心の注意を払うことを明確にすることです。
　設置場所は駐輪場・ゴミ置き場・エレベーター内・屋上などの問題の多い場所に限定して、効果を見ながら増設を検討します。
　映像の閲覧などは、問題が発生した時だけに限定し、必ず理事会と関係者等が複数立ち会って行うなどのルールを決めます。
　最後に記録は完全消去を徹底する必要があり、長期に保存しないことです。
　この運用ルールは慎重派の方に提案してもらうとよいでしょう。安全な住まいのための防犯カメラ設置ですから、プライバシーが保護されながら安心も確保することが大切です。

　──備え付け方やカメラの機種の選定は。

　三浦　簡単に壊されないよう３ｍぐらいの高さに取り付け、機種は広角レンズの物を選ぶとよいでしょう。

　──設置費用は修繕積立金から出してもよいでしょうか。

　三浦　新規工事ですから、修繕積立金の原則的使途からは外れるように思います。しかし、用途の変更に当たらないこの種の改善は、総会の過半数で決する普通決議で使用が承認されるのであれば、出してもよいと思います。

（「しんぶん赤旗」２００４年０９月１５日）