2階ベランダ通すガス管/別の工事方法とれないか

回答者 弁護士 榎本武光さん(東京東部法律事務所)


 築二十八年で六階建て七十四戸のマンションに住んでいます。
このたび東京ガスのすすめもあり、管理組合で決議したので、数ヵ月後からガス管の交換工事がなされる予定です。ところが、このガス管交換工事は、露出方式で、ガス管を二階のベランダ側を通して全戸に配る方式を取るというのです。このため、私の二〇二号室は、南側を太いガス管が通ることになってしまいます。この工事が進められようとしていますが、いまだに二階部分の私たちに承諾を求めてきていません。その総会には、私は出席できませんでしたが、聞くところによると参加者五人、委任状四十五人で開かれたとのことです。私の部屋は見栄えが悪くなり、マンションの価値が下がってしまいますので、ほかの工事方法をとってもらいたいのですが。(東京都・C生)

榎本 ガス管が築相当年数を経過して交換時期にきた以上、管理組合として、ガス管交換工事を行なうことは当然のことです。
 そして、その工事方法については、専門業者のアドバイスを受けていることと思いますので、ベランダに通る露出方式をとること自体は問題がないと思われます。
また、あなたの室のベランダにガス管が通ること自体、それが「専有部分の使用に特別の影響を及ぼすべきとき」に当たるとはいえません。したがって、ガス管交換工事をするに当たり、専有部分の所有者であるあなたの承諾が必要ということにはなりません。
 確かにガス管がベランダを通ることによって外観が悪くなり、あなたの室の価値が下がることは予想されますが、それが管理組合の決議に基づいて行なわれたものである以上は、その価格下落の損害を管理組合に請求することもできません。

――それでは、私はこのような状態を、あきらめなくてはならないのでしょうか。

榎本 先ほど総会が参加者五人、委任状四十五人で開かれたとのことですが、ご質問のガス管交換工事は、共用部分の変更に当たり、区分所有者および議決権の各四分の三以上の多数による総会の決議が必要になると考えられます。
 また、実際に二階部分の区分所有者が被害を受けることは予想できることですので、ほかの工事方法がないか理事会で検討してもらい、改めて、総会でほかのガス管交換工事方法を決議してもらうようにしてはいかがでしょうか。

(「しんぶん赤旗」2003年1月15日)



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