2006年8月18日(金)「しんぶん赤旗」

第39回 赤旗まつり

初出演 ソウル・フラワー・ユニオン(ロックバンド)

「いい時間一緒に」

民族楽器携え 被災地へ難民キヤンプへ


 「この惑星じゃ今も子どもらが、虫けらみたいに『ママ』と叫んで死んでゆく この戦争をやめさせろ」。二〇〇四年四月、アメリカがイラクのファルージャで大規模爆撃を行い、多くの市民を虐殺した二カ月後、ロックバンド、ソウル・フラワー・ユニオン(SFU)は、こう歌いました。赤旗まつり(十一月三―五日、東京都江東区「夢の島公園」)の二日目、中央舞台に登場します。(藤川良太)


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 「一緒にいい時間を過ごせるといいよね。これまで日本共産党とは出会ってなかったから、『最近どない?』という感じで、遊べるかどうかやね(笑)」。SFUのボーカル中川敬さんは初出演となる赤旗まつりについて語ります。

 SFUは、〇三年七月、「平和」「解放」を主題に置いたコンセプト・アルバム「シャローム・サラーム」を発表しました。シャロームはイスラエルで使われるヘブライ語。サラームはパレスチナで使われるアラビア語。ともに平和と言う意味を持ちます。

 収録曲の「リキサからの贈り物」は、東ティモール民主共和国の独立記念式典祝賀コンサートに出演後、訪れた町のことを歌った曲です。リキサはインドネシア併合派民兵による虐殺事件があった同国西部にある町。独立後、リキサへ向かうがけ道を「平和な村へ続く詩の道」と表現しました。

 そのほか、9・11同時テロを題材にした曲「ビッグ・アップル」を収録したアルバム「ラブ・プラスマイナス・ゼロ」(〇二年八月)や、「この戦争をやめさせろ」とストレートに非戦のメッセージを歌った「極東戦線異常なし!?」を発表。直接的な反戦のメッセージを込めた曲を近年増やしてきました。

 ジャン・ユンカーマン監督の「映画 日本国憲法」では、「シャローム・サラーム」や「極東戦線異常なし!?」の収録曲が使用されました。

 中川さんは「本来オレは、基本的に、凡百とあるいわゆるメッセージソングには懐疑的なんよね。ある種、言葉だけが先走る音楽を信用していないところがあるんやけど、ここまで現実が偏ってくると、歌を歌ってる一表現者として挑戦してみたいことがあった。昨今、同業者も含めて表現者があまりにも現実から目を背けているからね」と話します。

 バンドは六人で構成。ギター、ベース、ドラム、キーボードのほか三線(さんしん)などの伝統的民族楽器も使い、音を奏でます。ロックをベースにチンドン屋の音楽、沖縄民謡、アイルランドの伝統音楽などをとり込み、他のバンドとは一線を画します。

 阪神淡路大震災のとき、「ソウル・フラワー・モノノケ・サミット」を結成。アコースティック・チンドン・ユニットとしても、仮設住宅などを訪れ、被災者を励ましました。震災十年の節目、〇五年一月には「つづら折りの宴(うたげ)」を神戸市長田区長田町の長田神社で開催しました。

 活発な演奏活動は、国内に限りません。同年六月には、ヨルダンのパレスチナ難民キャンプでライブを行いました。

 今年九月十三日には、ベストアルバム「ゴースト・ヒッツ00〜06」をリリースします。「二〇〇〇年からこれまでに発表してきた数枚のアルバムからバランス良く、というのと、ソウル・フラワーの“今”が詰まっている曲を選んだ」(中川さん)。今回紹介した「リキサからの贈り物」、「ビッグ・アップル」や、パレスチナ難民キャンプからイタリアのシチリア島までピースボートに乗り、非西欧世界から文明をさかのぼったような経験を歌詞に込めた未発表曲を含む十七曲入りです。

 まつり参加者へのメッセージは、「少し音大きいなあとか思うかもしれんけど、一回だまされたと思って(笑)見てほしいね。『ああロックか、やめとこう』とか言わずに、さ(笑)。ほんもののロックンロールをお見せしましょう!」。


中央舞台(野外ステージ)の出演アーティスト

― 3日 ―

きたがわてつ(歌手)
「日本国憲法前文」の歌で全国を飛び回る。

サム・トゥッ・ソリ(韓国コーラスグループ)
赤旗まつり初の韓国からの出演。「生きる」「意志・希望」「うたごえ」――サム・トゥッ・ソリの熱いメッセージを。

半田美和子(ソプラノ歌手・二期会)
優れた歌唱力と表現力で二期会公演、新国立劇場で活躍。クラシックから日本の叙情歌まで幅広い活動で注目。

グルーポチェベレ(サルサバンド)
本場キューバもうなる日本人サルサバンド。アグレッシブで躍動感あるサウンドは米英でも高い評価を受ける。

― 4日 ―

高橋竹童(津軽三味線)
大家・高橋竹山の最後の内弟子。豪快な音締(ねじめ)と軽妙洒脱(しゃだつ)な舞台運び。

タイムファイブ(男声コーラスグループ)
最高のジャズ・コーラスの地位は揺らがない。結成35年をこえ、CМソングは1000曲をこえる。

ソウル・フラワー・ユニオン(ロックバンド)
観客を圧倒するライブ・パフォーマンス。欧米のロックにとらわれない国境をこえた音楽性で魅了する。反戦・平和をテーマにした曲も多数。

普天間かおり(歌手)
伸びやかで透明感あふれる歌声とさわやかな詞――独自の世界で魅了。

― 5日 ―

うたごえ合唱団
いのち輝け平和のうた。憲法9条を世界に!

国本武春(浪曲師)
三味線にギターのフレーズ取りで独自のパフォーマンス。

中川美保(サクソフォン奏者)
クラシック・サクソフォン奏者で高い評価。「さとうきび畑」など幅広い音楽活動。

デューク・エイセス&しゅうさえこ(歌手)
1500曲以上の幅広いレパートリー、結成50年をこえたデューク・エイセス。しゅうさえことのコンビネーションで音楽の世界が広がる。


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