2006年7月15日(土)「しんぶん赤旗」

耐震偽装で虚偽報告

強度再計算せず国に「安全」

東京・中央区


 元一級建築士の姉歯秀次被告(49)=建築基準法違反罪などで起訴=の「最初の偽装物件」とされる東京都中央区のマンションについて、建築確認を行った区が昨年末、強度の再計算をしていないにもかかわらず、国土交通省に対し「再計算した結果、耐震性に問題なし」と虚偽の報告をしていたことが十四日、わかりました。区は同日会見し、マンションの耐震強度は0・43だったと発表。「建築行政のみならず区政全般に対する信頼を損なった」と陳謝しました。

 マンションは「ゼファー月島」(八階建て、二十戸)で、建築主はゼファー(中央区)。建築確認審査が民間開放される前の九七年五月に、同区が建築確認を行いました。

 中央区によると昨年十二月、国交省から区内の「姉歯物件」について構造計算書の改ざんがないか調査するよう依頼を受け、再計算をしていないのに「改ざんなし。再計算により検証」と回答。今年一月二十四日には「建築主などによる再計算で安全性を確認した」と記者発表していました。

 六月、姉歯被告が警視庁などの調べに対し「最初の偽装物件は中央区のマンション」と供述したことが報道されたため、区は警視庁から資料提供を受け再調査。別の検査機関に再計算を委託し、偽装を確認したといいます。

 国交省への報告を決裁した中島俊明都市整備部長(55)は「当時は、再計算をしたと(職員から)報告を受けていた。今年六月になって課長から『再計算の計算書が存在しない』と報告があった」と説明。職員らがどう関与したかについて「事実関係を確認中。一カ月以内に調査する」としています。区は矢田美英区長と吉田不曇助役の減給処分を発表しました。

 マンション管理組合の志村孝美理事長(52)は「0・43という数字にショックを受けた。建築確認時と国交省調査の二度にわたって偽装を見落としており、区の建築行政への不信は大きい」と話しました。

 日本共産党区議会議員団は「居住者および周辺住民に新たな負担を及ぼさないよう、区の十分な対応を求める」と声明を出しました。


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