2006年6月1日(木)「しんぶん赤旗」

前自民市議団長逮捕、市長・助役も聴取

神戸市 底無し汚職

共産党が調査 究明に道


 神戸市がゆれています。前自民党神戸市議団長の村岡功容疑者(68)の逮捕・起訴(受託収賄罪)に続き、市長、二助役の聴取、市長室、助役室の捜索、五月十九日には村岡容疑者の長男、龍男神戸市議(45)もあっせん収賄容疑で逮捕と、事件は底無しの様相を見せています。


自民、市が一体

 二〇〇一年、大阪の大手産廃業者が神戸市東灘区の六甲アイランドに中間処理施設設置を計画。近くで営業する別の産廃業者らから進出阻止を依頼された村岡容疑者は二〇〇二年九月ごろ、産廃設置基準を厳しくするよう市当局に圧力をかけ、同容疑者の意を受けた自民党市議は環境保全審議会で同様の主張をします。

 同年十二月、市は産廃施設の設置要綱を改定し、設置基準のハードルを高くしました。大手業者は進出できなくなり、見返りに村岡容疑者は六百万円を受け取り、龍男容疑者も千五百万円を受け取ったとされます。

 立件された事件はもう一つ。〇四年六月から稼働している神戸市資源リサイクルセンター(西区)の運営は当初、福祉団体に任せる計画でした。しかし三人の自民党市議が民間委託に変更するよう議会で要求。市当局は、市長の指示のもと、公募入札に変更し、村岡容疑者が顧問の団体が受託しました。

 ここでも村岡容疑者は業者から二百万円のわいろを受け取っています。議会で質問した三人の自民党市議は「村岡容疑者の指示を受けた」と供述したと報じられています。

 これらは自民党議員団ぐるみで、市当局と一体となった構造汚職にほかなりません。

開き直る市長

 村岡容疑者らの圧力のもとで、贈賄業者の利益のために市政がゆがめられたことは重大です。

 ところが、矢田立郎市長は四月の村岡功容疑者の逮捕後、「市に不正はなかった」と言い続けてきました。五月二十六日に公表した市の内部調査の結果では、一部に「不適切な事務処理」があり、結果として村岡容疑者の思惑通りになったと認めながらも、「法令違反や不正な行為はなかった」と結論。三十日の本会議でも同様の主張を繰り返しました。

 しかし、神戸地検は産廃処理施設設置要綱改定問題で「(大阪の大手)業者から民事訴訟を起こされた場合、敗訴する可能性が高い」などと記された内部文書を、市長室から押収したことが明らかになっています。市幹部が作成したものとみられ、不正であることを知りつつ要綱を改定し、市長もそれを認識していた可能性があります。

鋭い質問連打

 日本共産党神戸市議団は市議会政治倫理確立委員会で、独自調査でつかんだ多くの不正の証拠をつきつけ、真相究明に道を開いてきました。

 なかでも、大反響をよんだ指摘は――。

 ▽産廃施設の設置申し出を記録する受付簿が二〇〇〇年九月八日から一年半分が記載されていない。そのため、進出できなくなった大手業者はこの時期に届け出しているが、その記録が存在しない。

 ▽資源リサイクルセンターの運営委託の入札で、落札企業と次点の企業の見積書の筆跡が酷似しており、同一人物が記入した疑いが濃厚。落札企業の見積書の日付が訂正印なしで直されているうえ、判読不能で、募集要項に違反。

 ▽ポートアイランドの市有地売却をめぐる選考会に二社が応募、両社の取締役と社長は同一人物。うち当選した一社は、村岡容疑者の紹介―。

 いずれの指摘にも当局は答弁不能になり、審議はストップ。委員会翌日の各紙は毎回、日本共産党議員の追及を大きく取り上げてきました。「流石(さすが)の当局もしどろもどろと回答不能。…質疑の連続パンチに、議会は機能している、との感触をつかみうれしかったです」と追及の感想をメールで伝えあった市民もいました。

 日本共産党の西下勝市議団長は「市は内部調査結果を出しましたが、内容を見ると市長が真剣に真相を明らかにする立場に立っていません。今こそ市長自ら責任と事件の全容を明らかにすべきです。市議団としても、真相の究明と、市長をはじめ当局と自民党の責任追及へ、いっそう全力を挙げたい」と決意をのべています。


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