2005年10月29日(土)「しんぶん赤旗」

EU首脳会議グローバル化対策

支援基金など大筋合意


 【ハンプトンコート=岡崎衆史】欧州連合(EU)非公式首脳会議が二十七日、ロンドン西郊のハンプトンコートで開かれ、経済、社会のグローバル化(地球規模化)が進展する中で欧州が勝ち残るために、研究開発への援助強化やグローバル化で否定的影響を受ける人を支援する基金の設立などで大筋合意しました。

 十二月のEU首脳会議で合意を実現するための枠組みを定め、さらに来年三月の首脳会議で具体的方針を決定するといいます。

 会議後記者会見したEU議長国英国のブレア首相は、グローバル化に対してEUが対応する方針を記した欧州委員会(EUの執行機関)の報告文書「グローバル世界の中での欧州の価値」に「広範な合意」が得られたと表明。

 とりわけ重視する分野として、(1)研究・開発、技術刷新(2)大学改革(3)エネルギー分野での協力強化(4)不法移民の取り締まり強化と合法移民の容認(5)家庭生活と仕事を両立させるための援助(6)グローバル化で否定的影響を受ける人への支援基金設置―を挙げました。

 移民対策とテロ対策については、十二月の首脳会議で行動を提起すると述べました。

■解説

■自由化路線への不満に配慮

 欧州連合(EU)首脳会議で、大筋で支持が表明された欧州委員会(EUの執行機関)報告「グローバル世界の中での欧州の価値」は、グローバル化が進む世界で勝ち残るためにEU内外で自由化を進めるとしています。

 しかし一方で、グローバル化で否定的影響を受ける人を救済する基金の設置をはじめ、低賃金問題の解決など社会的連帯も強調するなど、EU議長国英国が主張する自由化一辺倒とは趣が異なっています。

 英国を妥協に追い込んだのは自由化路線への人々の不満でした。

 EUでは、五月にフランスで、六月にはオランダで実施された国民投票で、欧州憲法案の批准が否決されました。

 憲法反対派は、EUが進める自由化で賃金の安い東欧の労働者が流入し、仕事が奪われると宣伝。失業や貧富の差の拡大に悩む人々に浸透しました。

 EUは予算をめぐっても対立し、メディアはEUの「危機」を書き立てました。ブレア英首相は、EUが約二千万の失業者を抱える原因を福祉が手厚く規制の多い欧州の経済社会モデルにあるとし、自由化重視の英国モデルに沿った方向転換を狙いました。首脳会議をそれに利用しようとしたのです。

 しかし、英国モデルの押し付けに対して欧州モデルを守れの声が強まり、「フランスは欧州が単なる自由貿易圏になるのを容認しない」(シラク仏大統領)、「欧州は市場だけではなく社会的文化的連帯の場だ」(シュレーダー独首相)など、各国首脳の発言につながりました。ブレア首相も、会議での合意のため、連帯を強調せざるを得ませんでした。

 欧州委員会が議長国と協議の上で出した報告文書は、自由化推進では譲らなかったものの、こうした声に一定配慮したものになりました。


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