2005年5月20日(金)「しんぶん赤旗」
中小企業
景気が急速悪化
原材料の高騰で拍車
政府は「景気は回復局面」(竹中平蔵経済財政担当相)という見方を変えていません。しかし、中小企業の景況はこのところ急速に悪化。鉄鋼など原材料価格の高騰が収益悪化に拍車をかけています。 (大小島美和子)
中小企業金融公庫(中小公庫)が取引先(五千六百二十四社)の動向をまとめた「中小企業動向調査」(一―三月期)によると、企業の業況判断(景気「好転」とする企業の割合から「悪化」とする割合を差し引く)は、二期にわたりマイナス(「悪化」とした企業割合が多い)幅を拡大しています。
とくに製造業は、前期のプラス〇・四から一気にマイナス八・八にまで下げました。
悪化の傾向は小規模企業ではさらに顕著です。
国民生活金融公庫の取引先(七千二百十三社)の一―三月期の業況はマイナス四四・五となりました。
小企業は「(景気)改善傾向にかげり」が強まっているとしています。
「先行きが不安」
仕事や受注の減少、製品や加工単価の下落が続き、先行き不安感が広がっています。
日本商工会議所の「早期景気観測」(LOBO)四月調査に寄せられた全国からの声は、「相変わらず受注環境は厳しい」(一般工事業者)、「景気の回復が鈍化傾向にあり、先行きが不透明」(百貨店)など切実です。
全国中小企業団体中央会が電機、自動車産業などの下請け業種九団体の動きをまとめた「下請中小企業の最近の動向」(昨年十一月調査)でも、「(中国の(低)価格がベースになるため)たとえ受注量が増えても利益に結びつかない」(電気部品業界)などの声が寄せられています。
また、「景気回復の兆し」が「ある」と答えた業界が前回の七つから五つに減少し、「(兆しが)ない」と答えた業界は二業界から四業界に増加しました。調査は景気「回復の兆しにも陰り」が出ているとしています。
「転嫁できない」
中小企業の収益悪化に、原油や鉄鋼など原材料価格の値上がりが追い打ちをかけています。
LOBO調査では、「ガソリンなど油類の値上げが事業経営に影響を及ぼし始めている」(自動車整備業)、「原材料である鋼材の値上がり傾向が続いているため、資金繰りは依然厳しい」(金属加工機械業)などの声が出ています。
「原料価格の高値分を製品販売価格に転嫁したところ、受注量が減少した」(水産食料品製造業)との声もあります。
中小企業にとって原材料価格の高騰分の転嫁は困難というのが実態です。
中央会の「下請中小企業の最近の動向」調査では、次のような声が寄せられています。
「原材料上昇分の製品価格転嫁が難しく、採算悪化が懸念される」(金属プレス業界)、「親企業は価格転嫁を100%認めない。たとえ認めても時期が一―二カ月ずれるため値下げと同じ結果となる」(電気部品業界)、「原材料インフレ、製品デフレの下でコスト上昇分を100%転嫁は難しく、採算・資金繰りの悪化を招いている」(鋳物業界)―など。
同調査では、原材料の上昇幅は「10―30%」とする業界が五業界で、調査九業界のうち半数以上に及び、価格の転嫁ができる程度は「40―60%」とする業界が三業界、「全く転嫁できない」とする業界が四業界もありました。今後も四業界が「全く(転嫁)できない」としています。
調査は「親企業の対応は厳しく、価格転嫁は進んでいない」としています。

