2005年4月26日(火)「しんぶん赤旗」
AA首脳会議閉幕
バンドン精神新たな息吹
異文明間の対話促進/両大陸の経済協力も
五十年ぶりのアジア・アフリカ首脳会議に参加した各国首脳は二十四日、インドネシアのバンドンで「歴史散歩」を行いました。五十年前、首脳会議の参加者が歩いた宿舎から会議会場まで約五十メートルの同じ道です。
そして五十年前のバンドン精神を今日に生かす「新アジア・アフリカ戦略的パートナーシップ宣言」に調印しました。インドネシアのテレビはこの日、五十年前の首脳会議の白黒映像も放映し、植民地主義とたたかう当時の息吹を伝えました。
今の時代に適応
首脳たちは、民族自決権の擁護をはじめバンドン精神が果たしてきた歴史的役割を確認しました。バンドン精神が非同盟運動に受け継がれ、半世紀の間に「植民地主義とアパルトヘイトが打倒された」と多くの代表が言及しました。「宣言」も「五十年間の努力の結果、われわれは独立し主権をもった」と述べています。そのことは会議への正式参加国が二十九から八十七と三倍となった事実でも見事に示されました。
首脳たちはこの到達点を確認しつつ今日的課題に臨みました。開催国インドネシアのユドヨノ大統領は「われわれはバンドン精神を再確認しただけでなく、今の時代の必要に適応させ、具体的実践的内容を与えた」と述べ、そして四年ごとの首脳会議開催など運動継続のための「制度的仕組みをつくった」と閉会あいさつで語っています。
いま、世界政治では国連改革の問題が浮上しています。「宣言」や「行動計画」は、国際関係の多国間協力主義、国連の中心的役割を強調し、「多国間主義強化のための国連改革を促進する」と方針化しました。
ナイジェリアのオバサンジョ大統領は「決定機関にわれわれの地域代表を」と主張しました。アジア・アフリカ大陸の国は百を超し、国連加盟国の半数を超え、世界人口の七割を超します。他方、安保理常任理事国は中国だけです。
「制度化された力の不釣り合いを除去するため、ともに努力しなくてはならない」(マレーシアのアブドラ首相)、「国連とその専門機関の民主化をわれわれの戦略共同の基本政策に」(インドのマンモハン・シン首相)と、国連民主化を求める発言が続きました。アジア・アフリカ諸国がどう挑んでいくのか、今後の焦点のひとつです。
アフリカの期待
百余の国が集まれば、それこそ文明、文化は多様です。「宣言」はその多様性を尊重し、文明間対話の重要性を強調しました。
各国の経済力はどうか。「サハラ以南のアフリカ住民四割は一日一ドル未満で暮らし、アジアにも貧困が残されている」(ユドヨノ大統領)一方で、「東アジアと東南アジアが新しいグローバル(地球規模)な経済センターとして出現」(パキスタンのムシャラフ大統領)しています。
タンザニア代表は、「アジアは外国投資をひきつけ上手に使った」「アジアから学んで経済開発モデルを発展させるべきだ」と発言し、アジアとのパートナーシップに対するアフリカの期待を示しました。韓国の李首相は、経済成長をはかり絶対的貧困に打ち勝った教訓を述べながら、「途上国の繁栄への願望を他よりも理解する韓国は、発展の経験を共有し続ける」と発言しました。会議は両大陸の経済協力でも新たな前進を誓ったのでした。
参加国のなかで唯一、高度に発達した資本主義国として特別な位置にあるのが日本でした。小泉首相は、政府開発援助を今後三年で倍増することなどアフリカ支援も強調しました。しかし、会議期間中、各国メディアがもっとも注目したのは日中関係でした。(バンドン=小玉純一)
日本 問われる「反省」の公約
今回のアジア・アフリカ首脳会議でもっとも注目を集めたのは、日本の歴史教科書問題や中国での反日デモによる日中関係の悪化でした。
会議主催国インドネシアのハッサン外相は十九日、町村外相との会談で「日中関係をたいへん憂慮している」と語りました。シンガポールのヨー外相は二十日、「二つのアジアの巨人が関係を悪化させることはわれわれにとって良いことではない」と懸念を表明しました。
会議期間中にたびたび開催された日本政府や中国政府の記者会見でも、各国からの質問は日中関係に集中しました。小泉首相は二十二日、本会議での演説で、「日本の植民地支配と侵略」についての「反省と謝罪」に言及しました。表現は一九九五年の村山(首相)談話そのままでしたが、直後の記者会見でも、「きょう自民党議員らが大挙して靖国神社を参拝したことは『反省と謝罪』とどう結びつくのか」との質問が出ました。
小泉首相と中国の胡錦濤国家主席の会談が二十三日夜、首脳会議終了後に行われました。会談が行われた胡主席滞在のホテルには各国の記者がつめかけ、成り行きに注目しました。
翌日のインドネシア紙ジャカルタ・ポストは一面トップで「中国が日本に厳しい条件」との見出しで日中首脳会談と両首脳の会見をくわしく報じました。
日中関係のかげに隠れましたが、韓国の李首相は本会議での演説で、名指しを避けながらも、「韓国に対する六十年間におよんだ植民地支配」について述べ、「植民地支配を美化することによって歴史をゆがめている国はみずからを自由にしえない」「率直に過去の誤った行為に立ち向かわない国は未来に前進できない」と日本を批判しました。
こうした日本への批判は中国や韓国に限りません。
シンガポール外務省報道官は二十二日、「日本の教科書(検定)当局が太平洋戦争についての奇妙な解釈を承認したことは不幸なことである。これは日本と近隣諸国、とりわけ中国、韓国との関係を緊張させている。これは地域全体にとっても利益とならない」と述べました。
対日関係を考慮して慎重に論評するインドネシアのメディアも、「日本は国際世論を軽んじている」(十九日付ジャカルタ・ポスト紙)と日本を痛烈に批判しました。
小泉首相の「過去の植民地支配と侵略」に対する「反省と謝罪」発言がどう具体的な行動となって表れるか、アジアと世界が見守っています。(ジャカルタ=鈴木勝比古)

