2005年3月29日(火)「しんぶん赤旗」

1億円受け渡し 現場はこうだ

日歯連元会計責任者証言

野中氏 小切手のぞく封筒を
橋本元首相 手をのばして受取る
青木氏 30分遅れて部屋に…


 宴席は二時間半。「乾杯前後」に橋本龍太郎元首相に一億円小切手入りの茶封筒を差し出したら、手を伸ばして受け取った――。自民党旧橋本派のヤミ献金事件で、橋本元首相らが日本歯科医師連盟(日歯連)側から一億円小切手を受け取った現場の詳細な状況が内田裕丈被告(日歯連元会計責任者)の一連の法廷証言で鮮明になってきました。記憶鮮明な同被告の証言が真相解明のうえでもとくに注目されています。


写真
日歯連から橋本元首相らに1億円の小切手が渡された料亭 「口悦」絞東京・港区(左から青木、橋本、野中の各氏)

 同被告の証言が大きな注目を集めたのは二十三日の元官房長官・村岡兼造被告にたいする公判。自民党の政治資金団体「国民政治協会」を通じた日歯連の迂回(うかい)献金を認めるとともに、一億円小切手授受でも詳細に証言しました。これらによると――。

 二〇〇一年七月二日午後七時半ごろ。東京・赤坂の料亭「口悦」の一階の角部屋に内田被告、日歯連会長・臼田貞夫被告が着席。内田被告がかばんから茶封筒に入れた一億円の小切手を出し、臼田被告が背広の内ポケットにしまいました。

 まもなく野中広務元幹事長、続いて橋本元首相が到着。テーブルは掘りごたつ式。橋本氏は床の間を背にテーブル中央、その右隣に野中氏が座りました。

 乾杯はビール。「乾杯の前後」(内田被告)に臼田被告が座ったまま橋本氏に小切手入り茶封筒を差し出しました。テーブルが広かったため、臼田被告は封筒を持った両手を差し伸べ、橋本氏は手を伸ばして受け取りました。

 「本日はお忙しいところありがとうございました。今後ともよろしくお願いします」と臼田被告。橋本氏は茶封筒から小切手を取り出して金額を確認し、小切手が封筒から半分ぐらい出たままの状態で、隣の野中氏に渡しました。

 野中氏は金額を確認し、小切手を茶封筒に戻して橋本氏に返そうとしました。しかし橋本氏は、手で水をすくうような動作をして、野中氏に持たせようとしました。

 すると、野中氏は「まあまあ」と小声でいいながら返し、橋本氏は封筒を背広の内ポケットに。橋本氏は「ありがとうございました。お預かりします」。野中氏も礼をのべました。

 そのあと「ちょうどいいタイミング」で食事に。一人三万円のコース料理。飲み物は、酒とビール、ウーロン茶、ミネラルウオーター。たばこは橋本氏と青木幹雄参院議員会長が好む「チェリー」が出されました。

 三十分たたないうちに青木氏が「いやいやどうも遅くなりまして」といいながら部屋に入ってきました。座ったのは橋本氏の左隣。橋本氏は青木氏に体をよせ、小声で「歯科医師会から小切手で一億円の献金をいただいた」と話し、青木氏は臼田被告に「どうもどうも、ありがとうございます」とのべました。

 会合のねらいは…。

 内田被告はふたつ理由をあげました。

 ――「予防歯科など連盟の政策にご理解、ご協力を頂きたかった」「橋本氏は厚生省のドンといわれる方ですから」

 ――「初の記名選挙となる参院選で(日歯連から立候補する)中原氏の知名度が低く、平成研からお力ぞえを頂きたかった」

 政治家側から参院選について「初めての記名式なのでがんばらないとむずかしい」といわれ、臼田被告は「平成研のお力を借りたい」とのべたといいます。

 旧橋本派とり込みの一億円のねらいがいよいよ鮮明になってきました。


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