2005年3月28日(月)「しんぶん赤旗」

女性の10年 振り返る

国連女性の地位委員会 就学・就職前進/エイズ深刻

中絶で横やりの米に批判


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国際女性デーでニューヨーク市内をデモ行進する人たち=8日(山崎伸治撮影)

 一九九五年に北京で開催された第四回世界女性会議から十年。第四十九回「女性の地位委員会」(CSW)閣僚級会合が二月二十八日から三月十一日までの二週間、ニューヨークの国連本部で開かれました。

 今回の会合の主要目的は、北京会議で採択された北京行動綱領の実施状況を検証し、課題を明らかにすることでした。百六十五の国連加盟国から約八十人の閣僚、千八百人の政府代表、七人のファーストレディー、二千六百人以上の非政府組織(NGO)の代表が参加しました。

 各国の代表は、この十年間で前進した点として、女性の就学率や就職率、政治参加の増加、性差別的な法律の改定などを挙げました。

 深刻な課題も明らかになりました。国連「女性の地位向上部」のハナン部長は、女性に対する暴力の拡大、HIV・エイズにかかる女性の増加、性と生殖に関する健康と権利の欠如、雇用の不平等などを指摘。多くの分野で男女平等がいまだに実現されていないと強調しました。

■政治宣言

 四日には、この会合の主要な合意文書である政治宣言が採択されました。宣言は五項目からなり、十年前の北京宣言と行動綱領を再確認する内容となっています。政治宣言の第二項目は「男女平等の実現に向けてこれまでに達成された前進を歓迎する」と同時に、北京宣言と行動綱領を実施していく上でなお課題が残されていることを強調。それを完全かつ速やかに実施するためにさらなる行動をとると約束しています。

 また、宣言の第四項目はこう強調しています。

 「北京宣言と行動綱領を実施し、女子差別撤廃条約に基づく義務を果たすことは、男女平等と女性のエンパワーメント(能力強化)の実現を相互に強化するものであることを認識する」

 北京行動綱領は、中絶をどう扱うかはそれぞれの国内法手続きによるとし、違法な中絶については刑罰の軽減などの見直しを検討するよう各国政府に求めています。

■宗教右派

 米国は政治宣言の採択前、北京行動綱領が「中絶の権利を含まないことを再確認する」とする修正案を提出。行動綱領の実行に弾みをつけることが緊急の課題だという一致が参加国間であるにもかかわらず、ブッシュ米政権に強い影響力を持つキリスト教右派の価値観を押し付けてきました。欧州各国やNGOは強く反発しました。

 結局、米国は十分な賛同者を得られず修正案を撤回。政治宣言が採択されました。「会合はずっと前に合意された基準の細部の討議に時間を費やしすぎた。行動綱領は明快であり、隠れた意味など持っていない」―ニュージーランド政府代表は、会合に混乱をもたらした米国を正面から批判しました。

 CSWを構成する四十五カ国は最終日の十一日、各国から出された十本の決議案を採択しました。これらの決議は国連の経済社会理事会に提出されます。

■広く修正

 決議は、▽女性とHIV・エイズ▽津波など災害被災者の支援で女性への配慮▽女性と子どもの人身売買の根絶▽女性の経済的地位の向上▽パレスチナ女性への支援―など広い分野にわたっています。

 米国は人身売買についての決議案を提出しました。各国から「性産業だけに対象が絞られている」「被害者の保護と人権の向上に目を向けるべきだ」との意見が出されました。その結果、より幅広い文言に修正の上、採択されました。

 パレスチナ女性への支援に関する決議案は発展途上国からなる77カ国グループ(G77)と中国が提出。投票に付され賛成三十八、反対一(米国)、棄権二(カナダ、アイスランド)で採択されました。

 CSWのカン・キョンファ議長は、「われわれは最後まであきらめないという強い決意を改めて固め合った。われわれは北京宣言と行動綱領を速やかに全面実施する責任を持つ」とCSWの成果を語っています。(中村美弥子)


 北京宣言と行動綱領 中国・北京で一九九五年に開催された第四回世界女性会議で採択された文書。行動綱領は女性の地位向上のためのガイドラインを示したもの。女性への暴力の根絶、経済的独立の促進、政策決定への平等な参加など十二項目の「重大関心領域」を盛り込んでいます。


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