2005年3月18日(金)「しんぶん赤旗」
国会の視点
米の牛肉輸入再開要求
食の安全 曲げるのか
牛海綿状脳症(BSE)問題で牛肉の早期輸入再開を強硬に求める米国。日本政府が「食の安全」を投げ捨ててこれに応じるのかが重大な政治の焦点になっています。
日本が米国産牛肉の輸入を禁止した二〇〇三年十二月から一年余り。今年一月、新しく農務長官に就いたジョハンズ氏は、輸出再開に向け「あらゆる努力をする」と表明、対日圧力を強めていく考えを示しました。同氏は米国内でも有数の農業・畜産地帯であるネブラスカ州知事の出身で酪農家のもとで育ちました。強硬姿勢の背景に、米畜産業界や食肉加工業界のいら立ちがあることは明らかです。
米議会筋では三日、日本が早期再開に応じない時には対日制裁を発動すべきだとする決議案が出され、強硬論が高まっています。こうした米国の動きに対し、日本政府内には早期に解決を図ろうとする動きが広がっています。
閣僚から焦りの声
三月九日、小泉純一郎首相がブッシュ大統領と電話会談。首相は「早期に再開したい気持ちは同じだ。いつとはいえないが、日米関係を害することがないようにしたい」と応じました。これと前後して、関係閣僚からも焦りの発言が相次いでいます。
「全頭検査は世界の非常識」と二月二十五日の衆院予算委でのべた島村宜伸農水相。実は同日の委員会では、当時駐日米大使だったベーカー氏から昨年十二月に牛肉輸入の要請を受けたことを明らかにし、「彼の気持ちにもこたえなければいけないと思った」と米国寄りの姿勢をあらわにしていました。
町村信孝外相は参院予算委員会などで、“食品安全委員会の審議は遅すぎる”と、「いったいどこの国の外務大臣か」といいたくなるような発言を繰り返しています。
日本共産党の紙智子議員は十七日の参院予算委で、米国産牛の安全性にかかわり、米会計検査院が「リスクについて実態より低く評価している」と指摘した報告書を示し、国内対策さえ満足にできていないことを批判しました。
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実際、牛一頭ごとに識別する仕組みもなく、検査体制もずさんで、BSE感染の疑いのある危険部位混入の危険まであるというでたらめな手法まで使って、米国いいなりに輸入再開するというのでは、「日本の食の安全が曲げられる」(紙氏)ことにほかなりません。
国民の願いは明確
BSEの国内対策については、内閣府の食品安全委員会のプリオン専門調査会が審議を続けています。
十五日発表のNHK世論調査では、「安全性を重視するために専門家の議論がまとまるのを待つべきだ」が84%でした。日米両国政府が生後二十カ月以下の牛について検査なしで輸入を再開させようとしていることに「賛成」は16%。「反対」が75%です。国民は、米国産牛肉が検査抜きで日本に入ってくることを望んでいないのです。
きょう、ライス米国務長官が来日し、改めて輸入再開を求めます。米国の圧力に屈して、日本の食品行政がねじまげられ、国民の食の安心・安全が脅かされるようなことはあってはなりません。(矢守一英)


