2005年2月22日(火)「しんぶん赤旗」

ポルトガル総選挙

緊縮政策にも審判

社会党、15万人雇用を公約


 【パリ=浅田信幸】ポルトガルの総選挙の結果、社会党が政権に復帰するのは三年ぶり。国会の単独過半数議席を制するのは初めてです。ソクラテス書記長(首相候補)は「拒否の多数派ではなく、対案と大志、変化への意思の多数派」が誕生したとし、「希望の勝利だ」と勝利宣言しました。

 選挙結果はなによりも、国民世論に反対してイラク派兵を続けてきたことなど、過去三年間政権を担当してきた保守連合に有権者が明確な不信任を突きつけたことを示しています。

 イラク派兵問題以外でも、選挙結果は緊縮政策と政治家の資質に対する国民の審判が下ったと受けとめられています。

 経済財政分野で、欧州単一通貨ユーロの導入にともなう財政赤字抑制のための緊縮政策で、成長率は1%と停滞し、失業率は7・1%に上昇。国民一人あたりの所得は八年前の欧州連合(EU)平均の73・4%から昨年は68・8%にまで後退し、経済情勢を「悪い」と見る人は94%に達しています。

 サンタナロペス首相の政治家としての資質も問われました。

 昨年七月、欧州委員長に指名されて首相を辞任したバローゾ氏の後を継いだサンタナロペス氏ですが、言動の不一致など与党内からも批判が続出。サンパイオ大統領による昨年十二月の議会解散の決断も、閣僚が首相の「不誠実さ」を非難して辞表をたたきつけたことをきっかけとする「政府の信頼性の深刻な危機」が理由でした。

 一方、勝利した社会党と新たに首相に就くことが確実になったソクラテス氏は、これらの問題を克服し、政治に対する国民の信頼をどう回復するかが問われます。

 イラク問題では「EUの政策に従う」と断言するソクラテス氏は、選挙キャンペーンでは向こう四年間に十五万人の雇用創出と成長率3%の確保を最大の公約として打ち出しました。

 八六年の欧州共同体(EC)加盟以後、欧州の貧しい国として、地域政策援助を受け、安い労働力を求める外国資本の投資を呼び込んできたポルトガルですが、グローバル化とEU拡大により、同国でも工場の国外移転が大きな問題になっており、とくに繊維・衣料産業が深刻な危機に陥っています。

 小国でも経済力を持ち、高福祉を実現した北欧型社会をめざしたいと語るソクラテス氏が政治力をどう発揮するのか注目されます。

ポルトガル総選挙結果(暫定)<総議席230>

 社会党(PS)    45.05%(+7.29) 120議席(+24議席)

 社会民主党(PSD) 28.69%(−11.52)  72議席(−33議席)

 統一民主同盟(CDU) 7.57%(+0.63)  14議席(+2議席)

 民衆党(PP)     7.27%(−1.45)  12議席(−2議席)

 左翼ブロック(BE)  6.38%(+3.64)  8議席(+5議席)

 その他        ――         4議席



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