2005年2月21日(月)「しんぶん赤旗」

世界規模で「協力拡大」

日米同盟、共通の戦略

「台湾」に初言及

安保協議委員会で確認


 【ワシントン=浜谷浩司】日米の外務、防衛担当閣僚による日米安全保障協議委員会(2プラス2)の会議が十九日午前(日本時間二十日未明)、ワシントンで開かれました。会議で日米両政府は、アジア太平洋地域と世界でのさまざまな事態に両国が共同で対処するとした「共通の戦略目標」を新たに設定しました。一九九六年の日米安保共同宣言でアジア太平洋地域に拡大した日米軍事同盟を米国の戦争に地球規模で協力する新たな軍事同盟に拡大することを確認したものです。

 会議には、日本側から町村信孝外相と大野功統防衛庁長官、米側からライス国務長官とラムズフェルド国防長官が出席しました。

 会議内容についての共同発表では、「戦略目標」の実現で日米同盟は、「死活的に重要な役割を果たしつづける」とし、世界的規模の同盟関係を永続化する意図が強調されました。会議で町村外相は、イラクへの自衛隊派兵をあげて、「今後も地球的規模で(対米)協力の拡大を図る」と表明。ライス国務長官は「日本が地球的規模での役割を高めていることを評価する」と応じました。

 町村外相は会議後の共同記者会見で、地球規模の日米同盟の具体化について説明。「共通の戦略目標、米軍の役割をめぐる議論、個別の米軍再編をめぐる議論」の三段階あるが、第一段階は実現したので「今後数カ月間、第二、第三段階の議論を集中的に深め、加速してゆく」と述べました。

 他方、沖縄の米軍基地問題で、共同発表は「負担の軽減」をいいながら「抑止力維持」を強調。普天間基地の扱いでは、海上基地建設を決めたSACO(沖縄に関する特別行動委員会)最終報告の「忠実」な実施が重要だとしました。

 会議は「台湾海峡をめぐる問題」をとりあげ、共同発表では「(問題の)平和的解決を促す」としました。日米の安保協議で「台湾」を議題にしたのは初めて。「(中国の)軍事的動向に注意すべきだ」(大野防衛庁長官)などとする論議がかわされ、日米同盟としてアジアに介入してゆく姿勢を示しました。会議は、北朝鮮の問題をとりあげ、北朝鮮の六カ国協議への復帰、平和的解決を確認した外相共同声明を発表しました。


共同発表骨子

 【世界的課題への共同の取組】 日米同盟は地域・世界の平和と安定にとって死活的。協力関係を拡大▽アフガニスタン、イラクでの「支援」を評価▽「ミサイル防衛」の共同開発へ移行

 【共通の戦略目標】 国際テロと大量破壊兵器という「新たな脅威」とアジア太平洋の不透明性、不確実性に対応するため、緊密に協力▽中国が建設的な役割果たすことを歓迎、軍事分野での透明性を高めるよう促す▽台湾海峡問題の平和的解決を促す

 【日米の安全保障・軍事協力の強化】 自衛隊・米軍の役割・任務・能力についての検討を継続▽在日米軍の兵力構成見直し協議を強化


 2プラス2 正式名称は日米安全保障協議委員会(SCC)。日米安保条約をはじめ安全保障分野での日米協力に関する問題を検討するため設置された協議機関です。構成員は、日本側が外務大臣と防衛庁長官、米側が国務長官と国防長官となっています。


ミサイル防衛 来年10月から開発へ

 ワシントンからの報道によれば十九日、ワシントンでおこなわれた大野功統防衛庁長官とラムズフェルド米国防長官の会談で、両者は、ミサイル防衛計画の問題で、日米共同技術研究を二〇〇六年十月(米国の二〇〇七会計年度)から開発段階にすすめる方針で一致しました。米国防長官が説明、大野長官がこれを歓迎したものです。これにより、アジア各国から批判の声があがっているミサイル防衛問題での日米協力はさらに強化されることになります。

 日米安全保障協議委員会(2プラス2)の共同発表では、ミサイル防衛問題での協力促進の意向を強調し、とくに「日本による弾道ミサイル防衛システムの導入決定や武器輸出三原則等に関する最近の立場表明といった(日米の)ミサイル防衛協力における成果に留意」するなどと強調しています。

 大野長官は、先月下旬の記者会見で、ミサイル防衛と憲法が禁じる集団的自衛権の行使について「これから議論の対象となる」とのべており、今回の合意は憲法論議にも影響しそうです。



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