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2005年2月18日(金)「しんぶん赤旗」 印パ和解へはずみカシミールでも柔軟姿勢【ニューデリー=小玉純一】インドとパキスタンは十六日の外相会談でカシミールの印パ両側を結ぶバスの四月七日からの運行開始で合意しました。両国が係争地カシミールの問題解決に向け本格的に動き出す姿勢を示したものといえます。会談はまた、両国間で偶発的な核事故や不測の兵器使用の事態を回避するための協議開始でも合意しました。
バス運航開始の決定について、両国のメディアは、別れた家族・親せき、知人に会える人々の喜びの声を伝えています。 カシミールは印パ間の三回の戦争などでたびたび戦場になり、停戦(管理)ラインを越えた往来は禁止されていました。 バス運行による人々の往来は、大きな信頼醸成措置であり、平和への貢献として歓迎されています。昨年初頭の首脳会談後から続けてきた対話の中で、最大の成果といえます。 この一年間、合意にいたる経緯は簡単ではありませんでした。 両国の対立点は越境者の携行文書でした。インドはビザやパスポートを、パキスタンは地方政府発行文書を主張しました。停戦ラインの変更の可能性があるというパキスタンは、パスポートや中央政府の関与は停戦ラインの国境化につながるとして反対しました。 両国の主張の違いの背景には、インドが停戦ラインを正式の国境としたいのに対し、パキスタンは「カシミールは紛争地」として住民投票などによる帰属を求めているという基本的立場の違いがあります。それだけに、問題の解決はきわめて難しそうにみえました。 ところが両国はこれまでにないような柔軟さを見せました。英字紙インディアン・エクスプレスは外相会談前に、両国は携行文書の扱いをカシミール帰属問題にからめないという原則で協議していると伝えていました。 合意の背景には、武装勢力の襲撃減少もあるとみられます。武装勢力を支援してきたパキスタン軍がこの一年、武装勢力を抑制、またインド軍は停戦ライン沿いにフェンスを建設しました。 今回の合意は、対立していた印パ両国の和解への一歩というだけでなく、中国・インド関係を含めたアジア情勢全体にとっても大きな意味を持つものといえます。 |


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