|
2005年2月11日(金)「しんぶん赤旗」 インド洋大津波で活躍 タイ・テレビ局ITV募金6億円、物資800トン予防へ啓発、教材も提供「毎日朝六時から夜二時まで十日間、ぶっ通しで津波による被害を報道しました。タイのテレビ局始まって以来の歴史的報道でした」―タイ最大の民間テレビ局ITVのアーチャ・スウォンパクプラック報道局長(52)が語りました。 (バンコク=鈴木勝比古 写真も)
アーチャ報道局長はバンコクの同テレビ局で本紙の取材に応じ、昨年十二月二十六日の大津波発生直後からのITVの報道と同局が総力をあげている復興支援活動について語りました。この日も被災地プーケットから帰ったばかりでした。 朝10時ごろ電話で通報「二十六日朝十時ごろ、電話で通報がありました。プーケットで大水が発生したというのです。雨も降っていないのにおかしいなと思いました。津波とはわかりませんでした」。正午ごろになってようやく津波に襲われたことがわかりました。 プーケットのITV記者と連絡が取れなかったので、タイ南部のイスラム地域の紛争取材中だった記者をプーケットに派遣しました。バンコク―プーケット間の航空便はストップしていました。現場撮影のためヘリコプターを飛ばし、衛星放送機材は陸路で輸送しました。夜になってようやくヘリからの映像やプーケット西岸パトンビーチで撮影した映像を放映できました。 最初は「パトンビーチが被害を受けた」との情報だけでしたが、その後、クラビ、サトゥーン、トランの各県でも被害が出ていることがわかり、二十六日午後二時ごろ、もっとも大きな被害が出ているのはパンガー県であることがわかりました。パンガー県カオラック・リゾートの観光施設の80%が損壊しました。 「衛星放送機材をパンガー県のカオラックに移動させました。ITVはニュース報道と同時に行方不明者の消息の問い合わせや情報の提供、さらに救援活動を行いました。募金や衣服、食料などの支援物資の受けつけ、現地への搬送、分配に直ちに取り組みました」 スタッフを2百人派遣
津波の被害を受けた南部六県に駐在する記者は通常、一県に記者一人でしたが、のべ二百人のスタッフを派遣。取材班、情報班、支援物資分配班などに分かれて活動しました。 遺体の身元確認作業は現在、DNA鑑定と歯型照合に移っています。中国の協力により、データを北京に送って照合し、結果を送り返してもらって作業しています。今後、最短でも二カ月はかかるとのことです。 復興支援の活動でITVは募金を二月一日現在で二億一千五百万バーツ(約五億八千四百万円)、支援物資を八百トン集めました。ITVは仮設住宅ではなく、本格的な住居を建設します。被災者からの書類を受け付け、一戸十二万―十三万バーツ(約三十二万―三十五万円)の予算です。「七百―八百戸を建設し、三月には入居できるようにします」 このほか学校の建設、職業訓練、自然環境の回復にも取り組みます。 「タイのテレビ、ラジオ放送で欠落していたのは災害の予防と対策です。津波の知識がなかったため、海水が引いたのを見に行って犠牲になった人が多くいます。今後、地震や津波情報の放送に取り組み、学校教育用の災害情報のCDやビデオを各学校の図書館に提供する計画です」 |



学習・党活動版編集部の紹介ビデオ

