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2005年2月11日(金)「しんぶん赤旗」 政治とカネ自民・民主の「泥仕合」といわれるが本当は何が問題「政治とカネ」をめぐる国会論戦は、自民党と民主党による“非難合戦”の様相です。自民党が「売られたけんかは買う」(馳浩衆院議員)と息巻けば、民主党は「テレビを悪用して国民に正しい理解ができないようにしている」(岡田克也代表)と応酬しています。この問題をつうじて、なにが見えてきたのでしょうか。
“政治買う”仕組みなくせるか
カネの力で政治を動かす企業・団体献金を認める限り、「政治とカネ」にまつわる不祥事はなくならない――国会論戦をつうじて改めてはっきりしたのが、このことです。 表に出ると困る発端となった自民党・旧橋本派(平成研究会)の一億円ヤミ献金問題にも、そのことがよく現れています。 日本歯科医師会の政治団体である日本歯科医師連盟(日歯連)が二〇〇一年七月、厚生行政に強い影響力をもつ自民党・最大派閥の橋本派(当時)に一億円を献金。同派が「選挙の年だから目立つ」などとして、裏金として処理した問題です。 日歯連会長(当時)の臼田貞夫被告が、都内の料亭で橋本龍太郎元首相らに一億円の小切手を手渡したのは「平成研の幹部との関係修復のため」(検察の冒頭陳述)だったとされます。当時、日歯連は、「かかりつけ歯科初診料」(か初診料、注)の要件緩和について、自民党の厚生族議員に大規模な働きかけをしていました。それだけに、橋本元首相ら厚相経験者も多く、厚生行政に強い影響力をもつ橋本派との「関係修復」を図ったのです。 こういう後ろ暗い性格のカネだからこそ、日歯連側も領収書をもらわないことで了承。橋本派も、「表に出ると困る」(有罪が確定した旧橋本派会計責任者の滝川俊行被告)としてヤミで処理したのです。 違反逃れで隠す日歯連から自民党の政治資金団体「国民政治協会」(国政協)を通じた「迂回(うかい)献金」も問題になっています。 「か初診料」の要件緩和に動いていた日歯連が、有力政治家を買収しようと、国政協に受け取り先を指定して献金。日歯連側は領収書に政治家名を書き入れたり、ナンバーをうち帳簿につけたりしていました。 これは、政治家個人への企業・団体献金が禁止されたことから、政党本部を通すことで違反から逃れようとしたものです。 政党支部を通じて政治家個人に渡る「迂回献金」も横行しています。 このように企業・団体と政治家が直接結びつかないように小細工するのも、企業・団体献金がやましいカネであることを証明するものです。 二大政党の土俵民主党は企業・団体献金を認める点では、自民党と同じです。 同党の〇五年活動方針は「企業・団体に対し、寄附を幅広く要請していきます」と明記。川端達夫幹事長は一月七日の記者会見で「目標五億円に向け…(財界との)パイプを一生懸命つないでいる」とのべました。 日本経団連の政党評価にも、「二大政党制の実現ということで、民主党も育ててほしい」(川端氏)と期待を寄せています。 二大政党が財界からの献金を競い合うような政治でいいのかが、いま問われています。
“一党支持押し付け”やめるか
国会論戦を通じて浮かび上がったもう一つの問題は、憲法が保障している思想・信条の自由を侵す団体ぐるみの強制的な資金集めと脱法的な献金です。 会費集め半強制今度の国会でも、日歯連による一億円ヤミ献金や「迂回献金」、日本看護連盟による南野知恵子法相への巨額献金などが問題になっています。 日歯連の場合、ヤミ献金も「迂回献金」も歯科医師会の会員から半強制的に徴収していた会費が原資です。日歯連は五年間で約二十五億円も「国民政治協会」に献金する自民党最大のスポンサーにまでなっていました。 日本看護協会の政治団体、日本看護連盟の埼玉県支部でも、「協力金」と称して協会の年会費と一緒に各看護師から半強制的に千円を徴収していたことがわかりました。 日歯連も、日本看護連盟も、公益法人である日歯や看護協会の政治団体です。しかし、公益法人であろうと、政治団体であろうと、政治をゆがめる団体献金は許されないことを一連の事件は示しています。 県教委が処分一方、民主党でも、団体ぐるみの資金集めが問われています。山梨県教職員組合(山教組)と一体の山梨県民主教育政治連盟(県政連)が“ぐるみ選挙”を展開、民主党候補への支持やカンパを半強制的に集めていた問題です。 この問題で、山梨県教育委員会は昨年十二月二十七日付で、民主党の輿石東氏(参院幹事長)の後援会入会カードを送ったり、資金カンパを要請したなどとして、十九人を処分。文部科学省の銭谷真美・初等中等教育局長は「校長、教頭らが、政治的目的を持った資金カンパにつきまして、その要請を伝達し、また集まった資金を政治的団体に届けるという行為があったという事実認定をした」(二日の衆院予算委)ことを認めています。 日本共産党の中岡晴江議員も昨年十二月の山梨県議会でぐるみ選挙の実態を追及しました。 民主党も、自民党の団体ぐるみの資金集めを問題にするなら、こうした足元の問題にもメスを入れる必要があるのではないでしょうか。
税金頼みの活動でいいのか
政党活動を、国民の税金を原資とした政党助成金に頼っていることから噴出した矛盾、問題もあります。 自民党議員は、さかんに民主党の政党助成金の使途を追及していますが、この十年間で千四百七十億円もの政党助成金を受け取っているのが自民党です。二〇〇三年の政党本部の収入でみると、政党助成金の割合は、民主党84・6%、自民党は59・9%。政党助成金の依存体質は同じです。 民主党にかんしていえば、民主党と合併した旧自由党の政党助成金が問題になっています。同党が解散当日の〇三年九月二十六日、企業・団体献金の窓口になっていた政治資金団体「改革国民会議」に、政党助成金五億六千九十六万円を含む十三億六百八十六万円を寄付しました。 政党助成法第三三条(政党交付金の返還等)は、政党が解散した場合、政党助成金(交付金)の残額があれば総務相が返還を命令できるとしています。総務省政党助成室は、今回の場合も解散した瞬間に残額があれば「返還命令の対象となる」としています。ただ、自由党の場合、解散当日に残金を「寄付」したため、三三条の対象外になったのです。 いわば脱法的に「返還逃れ」をした疑いは消えません。 また、藤井裕久自由党幹事長(当時)に政党助成金から組織活動費として〇二年に約十五億円が渡った問題もあります。民主党の岡田克也代表も「法律の趣旨からいって決して好ましいことではない」としています。 こうしたことが起こるのも、政党助成金が矛盾をもつ制度だからです。国民の税金である政党助成金は、いったん政党に渡れば、あとは何に使おうと勝手放題の“つかみ金”です。政党活動の自由という建前から使途に制約を加えられないからです。 しかし、元は国民の税金ですから、不信は増すばかりです。政党助成金を廃止する以外に、こうした問題の発生を根本的になくすことはできません。 問われる自浄能力「政治とカネ」の問題では、疑惑を指摘された政党、政治家の自浄能力が問われています。 小泉純一郎首相は、自民党中枢の有力政治家がかかわる旧橋本派への一億円ヤミ献金について、「自民党の問題というか、個人の問題だ」(8日の衆院予算委)とまるで人ごとのような態度です。出身派閥・森派が所属議員に配る「もち代」「氷代」を政治資金収支報告書に記載していなかった問題でも「政治家一人ひとりがきちんと処理すべきだ」(1日の参院予算委)と解明に乗りだそうとしません。自民党は迂回献金問題で「調査報告」なるものを7日の衆院予算委理事会に提出しましたが、「『迂回献金』を行っていたという事実はない」とするだけ。そこには疑惑議員の聴取結果さえないのです。 民主党も、自民党の金権体質を批判するのであれば、自らにかけられた疑惑を説明する必要があるのではないでしょうか。 岡田代表は旧自由党の資金問題について、「それぞれの政党がそれぞれの考え方で制度を運用してきたのだから、私からコメントするつもりはない」(8日の記者会見)としています。政党助成金から藤井氏に支出された「組織活動費」には「合併する前の自由党時代のことだ。藤井氏に釈明を求める必要性を感じていない」(同)としています。 「政治とカネ」をめぐる国会論戦が「泥仕合」「非難合戦」といわれるのも、政党、政治家が解明の責任を十分果たしていないからです。 問題の根本にメス入れる日本共産党日本共産党は、企業・団体献金を受け取らず、政党助成金の分け取りにも参加せず、その禁止・廃止を主張しています。また、「団体ぐるみ選挙」についても、かつての社会党が労働組合に事実上「社会党一党支持」を押しつけ、“票も金も”と依存していた時代から、一貫して憲法の思想・信条をおかすものだとして批判してきました。 「日本共産党は助成金も企業献金も受けず、党員のボランティア、党費、寄付金、出版物の販売収入等によって政党の運営を行っている。他の政党も、本気になればやれることを共産党は証明している」(田中克人・福祉社会研究所理事長、ビジネス誌『エルネオス』〇四年十一月号)という評価もあります。 日本共産党は国会でもこうした立場から、企業・団体献金や政党助成金でゆがめられている政治にメスを入れる論戦をしています。 これにたいして小泉首相は井上哲士参院議員の質問への答弁の中で、日本共産党が「一議員に対して」数億円もの“組織活動費”を支出しているかのように攻撃してきました(一日の参院予算委員会)。これには井上議員が記者会見で、日本共産党本部から給付している国会議員団全体の日常活動費を、個人名義(当時の国会議員団総会会長・松本善明名義、その後、白石敏夫国会議員団事務局次長名義)の口座に受け入れる措置であることを明らかにし、「質問とはまったく無関係な答弁」と反論するなど、党の態度を明確にしています。 かかりつけ歯科初診料 二〇〇〇年四月の診療報酬改定で導入。歯科医師が継続的に診療することを説明し、患者の同意があれば通常の一・五倍の報酬が得られます。そのさい、患者の歯の模型や口腔(こうくう)内写真を使用したり、治療条件を患者に提供するなどの条件がついていました。〇二年四月の改定で、症例写真集を使った簡単な説明でも認められるよう条件が緩和されました。 |




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