2005年2月7日(月)「しんぶん赤旗」

銀行も警察も冷たい

カード犯罪被害者 10分で全額引出される

すぐ連絡したのに、悔しい


 キャッシュカードの情報や暗証番号が盗まれ、多額の現金が引き出されるカード犯罪で、きちんと対応しない銀行や警察に、被害者から怒りの声が上がっています。藤川良太記者

 「カード情報が盗まれる事件が起きているのは知っている。しかし、予防のためのシステムが追いついていない」(銀行)

 「それなら、追いついていない間に取られた私はどうするんですか」(被害者)

 「補償はできません…」(銀行)

 銀行側とのやりとりを再現するのは、大手都市銀三行の普通預金口座に預けておいた計三百九十一万円を取られた埼玉県在住の女性(35)。キャッシュカードを奪われ、素早く銀行に連絡したにもかかわらず、十分足らずで全額引き出されてしまいました。

 女性は、東京の地下鉄ホームで道を聞いてきた外国人の集団に囲まれました。直後にバッグを確認すると、側面が切られ財布を奪われていることに気づきました。女性は元銀行員。財布に入れていた三枚のカードの不正引き出しを防ぐために銀行への連絡を急ぎました。「通報したのは、道を聞かれてから七分から八分ぐらいでした。暗証番号は、生年月日などではなく、他人に分かるはずもない番号です」といいます。

 しかし、すべてのキャッシュカードが、一回で暗証番号を合わされ、預金が引き出されていました。

暗証番号なぜ

 なぜ暗証番号が犯人に知られたのか。

 女性は元銀行員だけにカードの管理には注意を払っていました。ATM(現金自動預払機)を使うさいも後ろからのぞき見されないようにコートやカバンで隠し、暗証番号を打つときは手の動きをできるだけ小さくしていたといいます。

 本人に落ち度がなくても暗証番号情報を盗む手口はいろいろあります。最近摘発されたゴルフ場での事件のように超小型カメラを設置して、ATMに暗証番号を打ち込む場面を盗撮したり、ATMと銀行のホストコンピューターをつなぐ回線にデータを取れる機械をひそかに設置する手口もあります。

 銀行が、ATM付近に警備員を立たせるとか、暗証番号を打つさいの数字の並びを毎回アトランダムに変えるなどの対策も必要ですが、まだ取り組んでいません。

防止策が必要

 女性は、警察からも不誠実な対応をされました。女性は事件直後、警察に電話し、ATMに向けた防犯用ビデオの押収を要請しました。

 しかし警察は、ビデオの押収を怠り、犯人の画像は、消されてしまいました。警察の怠慢を指摘すると応対した警官は「所轄が変わったときに、引き継ぎができていないから、私にそんなこと言われても困る」と開き直ったといいます。

 盗難・偽造キャッシュカードの犯罪被害者の「ひまわり草の会」には、同様の悔しい思いをした人が数多くいて、銀行による「被害金額の全額補償」と「被害防止策」を求める署名などに取り組んでいます。



もどる
日本共産党ホームへ「しんぶん赤旗」へ

著作権についてリンクについてメールの扱いについて
(c)日本共産党中央委員会
151-8586 東京都渋谷区千駄ヶ谷4-26-7  TEL03-3403-6111 FAX03-5474-8358 Mail:info@jcp.or.jp