2005年2月7日(月)「しんぶん赤旗」

仏全土で60万人デモ

週35時間労働を守ろう


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5日、「35時間、賃金、雇用、労働法」をスローガンにパリでおこなわれた労組のデモ(浅田信幸撮影)

 【パリ=浅田信幸】労働時間の緩和法案が議会審議にかかっているフランスで五日、週労働三十五時間制を守ろうと全国約百二十都市でデモが行われ、労組が予測した参加者数のほぼ倍に達する六十万人が参加。政府・与党の方針に対する労働者の怒りとたたかいの決意を示しました。このたたかいが続けばラファラン政権も何らかの対応を迫られそうです。

 「三十五時間、賃金、雇用、労働法―公営も民間も一緒に」の横断幕を先頭にパリのデモには九万人が参加。最前列に立った労働総同盟(CGT)のティボー書記長は「わが国で社会的不満が高まっている。政府は労働者の声を、聞き入れることが必要だ」と自信に満ちたコメントを述べました。

「増やすべきは賃金」など掲げ

 デモの隊列は「増やすべきは労働時間ではなく賃金だ」「みんなが収入を得るために三十五時間労働を」などの横断幕やプラカードを掲げ、「みんなが一緒になれば勝てる」とシュプレヒコールを繰り返しながら、共和国広場からナシオン広場まで三キロあまりを行進しました。

 この日、昨年十二月にラファラン政権が打ち出した「三十五時間」法のいっそうの緩和方針を受け、代表的労組のCGT、民主労働連盟(CFDT)、労働者の力派(FO)、キリスト教労働者同盟(CFTC)の四労組が、一年九カ月ぶりに統一しての一大行動となりました。またこれに他の労組も相次いで合流、相乗効果がもたらされました。

 「三十五時間」法が最初に成立したのは一九九八年のことです。しかし、二〇〇二年春に発足したラファラン政権は同年末に、法で認める残業時間を年百三十時間から百八十時間に延長し、あわせて従業員二十人以下の企業について適用を凍結していました。

 今回は、建前としての法定週三十五時間労働を残しつつ、残業時間をさらに二百二十時間まで延長することを容認。加えて企業別の労働協約があればそれ以上の残業も可能とし、その場合の割増賃金も法の規制を撤廃する方向です。

残業の提起は「経営者の都合」

 しかし企業単位の協約交渉では経営者側が圧倒的に有利。また残業を提起するのは「労働者の自由」ではなく、「経営者側の都合」でしかありません。「三十五時間は完全な仮想現実になる」と労組は批判します。

 「闘争より交渉を」の立場のCFDTシェレク書記長も今度は怒りを隠しません。「われわれは雇用を増やし、仕事と家庭生活のバランスをよくするために三十五時間を望んだ。労働時間の規制緩和を進めることで、与党と政府はこれをすべて覆そうとしている」と。

 世論も労組のたたかいを支えています。三日に発表された世論調査によると、労組の主張への「支持」と「共感」はあわせて69%の高率に達しました。また一週間前の別の調査では、「現在の労働時間を維持したい」労働者は77%にのぼり、収入を増やすためであれ「もっと働きたい」人は18%でしかありませんでした。



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