2005年2月5日(土)「しんぶん赤旗」

労働分配率“引き下げはまだ半分”

国民の実態見ない竹中発言


 竹中平蔵経済財政担当相は三日の衆院予算委員会で、“労働分配率はまだ下げ足りない”という趣旨の答弁をしました。日本共産党の志位和夫委員長が、家計の所得が減っている時期に大増税・国民負担増路線に踏み切っていいのかと政府を追及したのに対し、次のように答えたのです。

 「日本の労働分配率は、ずっと高くなってきた。修正せざるを得ない。修正はまだ半分。こういう調整を時間をかけていかなければいけない」

 リストラで労働者の所得が減り続け、それが内需を冷やし、景気の先行きさえ不透明にしている経済の実態を、竹中大臣は「まだ半分」と言い切ったのです。

バブル崩壊で

 確かに、労働分配率は一九九〇年代に上昇しました。しかし、これは労働者の収入が増えたことを表すものではありません。

 労働分配率の出し方はいろいろありますが、一つは企業の経常利益などを分母に、人件費を割った百分率で表します。つまり、バブル崩壊後の長期不況で企業利益(分母)が減り、人件費(分子)が一定なら、労働分配率は「上昇」します。

 九〇年代に労働分配率が上昇したもう一つの理由は、労働集約的産業といわれるサービス業の従事者が増加したことがあげられます。人手に頼るだけに人件費の割合(労働分配率)は高くなります。

 この点については、民間のシンクタンクも「九〇年以降についてみると、サービス業の(労働分配率に対する)押し上げ寄与のうち四分の三は、全産業におけるサービス業のウエイトが年々高まったこと(産業構造の変化)による」「相対的に労働集約的である(ゆえに労働分配率が高い)サービス業の、全産業に占める比率が高まる結果、全体の労働分配率にも上昇圧力がかかることとなる」(第一生命経済研究所)と指摘しています。

 “五百三十万人の雇用創出”などといってサービス分野への労働移動を推進したのは小泉内閣です。大企業製造業などのリストラ・人減らしを促進してきたのも小泉内閣。その結果、正社員が減りパートや派遣など不安定で低賃金な雇用が拡大しました。高齢者介護などサービス分野労働者は低賃金で働いているのが実態です。

人件費を抑制

グラフ

 上がりつづけていた労働分配率が最近急降下しているところに、一段の深刻さがあります。

 大企業の“独り勝ち”による高収益構造の確立と、家計所得の低下という二つの現実の「同居」です。ある商業紙コラムニストは「ここ数年、急速に低下した労働分配率」に注目し、こう書いています。

 「(労働分配率が)この三年間で2%以上も下がった。二年連続の最高益になるなど上場企業は大幅に利益を増やしたが、人件費については抑制を続けているからだ」「利益はもっぱら借金返済にあて、設備投資はキャッシュフロー(現金流出入額)の範囲内、人件費も抑え続ける経営は上場企業で今期十兆円の純利益を生み出すまでになっている」(日本経済新聞四日付「大機小機」)

 “労働分配率はまだ下げ足りない”という小泉内閣の姿勢は、もっとリストラをして大もうけをしたい大企業の意向にそったものです。

 三日の志位委員長の追及を聞いた人が同日、日本共産党本部に電話でこんな感想を寄せました。

 「小泉首相がいかに企業の側に立っているか、よくわかりました」(新潟・女性)

 篠田隆記者


カット

 労働分配率 生産によって生み出された付加価値が分配されたものが所得ですが、労働者にどれだけ分配されたかを示すのが労働分配率。国民経済を対象として国民所得に占める労働者報酬の割合を言う場合と、個々の企業・産業を対象として付加価値に占める賃金額の割合を示す場合、などがあります。図のデータ(第一生命経済研)は「企業が得た付加価値のうち人件費にまわす割合を示す」として、財務省の法人企業統計季報を使い、経常利益+人件費+支払い利息などを分母に、人件費を分子に、百分率(%)を出しています。



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