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2005年2月4日(金)「しんぶん赤旗」 “共産党攻撃”記事はこうしてつくられる週刊新潮の場合“議長夫人が日本共産党を動かしている”?!昨日発売の『週刊新潮』(2月10日号)に、「『第2の江青』不破哲三夫人が説く『天皇との共存』」と題するお笑いの記事が掲載されました。不破議長の夫人が、党本部で開かれた緊急会議に出席して、「天皇制との共存」を説き、その発言が日本共産党を動かしている、というのです。 少しでも日本共産党のことを知っている人なら、“そんなばかなこと”と相手にされない話ですが、この雑誌の編集部がこれをとりあげた出発点は、聞きかじりの勘違いにあったようです。 昨年11月17日、デンマーク女王夫妻が来日した際、東京赤坂の迎賓館で開いた夕食会に不破議長夫妻が招待され、出席したことは、本紙でも報じましたし、一般のマスコミでも話題になりました。こういう招待は、はじめてのことでしたから、党本部のなかでも、様子を聞きたいという声があり、夕食会の翌日(18日)、不破議長夫妻を囲んで、当夜の様子を聞く有志の集まりがあったのです。 おそらく『週刊新潮』の編集部は、どこからかこの話を聞きかじったのでしょう。“聞きかじり”には“聞き違い”がつきもの。有志の集まりをなんと「常任委員会」(日本共産党の本部には、こういう名前の機関はありません)と勘違いしたうえ、“天皇制との「共存」という共産党の態度はこの会議から始まった”とか、“それを言いだしたのは不破夫人の七加子さんだった”とかの“憶測”をつけくわえて、不破議長の夫人が党を動かしている、という妄想のシナリオをつくりあげたのです。 見当違いの質問状にもていねいに回答しかし、いくらシナリオを書いてみても、当事者への取材なしの記事を出したのでは、雑誌として成り立ちません。1月28日、編集部から党あてに5項目の質問状が送られてきました。質問はすべて、妄想のシナリオを下敷きにした見当違いのもので、党の側ではこんな話があることをはじめて知って、びっくりしたものです。しかし、公式の質問ですから、そのすべての項目に一つひとつ事実を示しながらていねいに答え、編集部がいう31日の回答の期限もきちんと守って、回答書を渡しました。なお、その回答のさい、党の「常任幹部会」を「常任委員会」と取り違えた編集部側の誤りについても、そのことを指摘して訂正しておきました。 最小限の常識をもった相手だったら、シナリオのおおもとになった事実誤認が立証されたのですから、これで一件落着となるのが、当たり前です。しかし、この相手には「最小限の常識」もなかったようです。 “恥の上塗り”ならぬ“誤認の上塗り”冒頭に紹介したように、昨日発行された『週刊新潮』には、予定した通りの“共産党攻撃”記事が、平気で掲載されています。党中央には「常任委員会」という機関はない、という指摘には、さすがに参ったようで、そこだけは、「共産党本部で緊急に東京都委員会の常任委員会が開かれた」と“訂正”してありました。しかし、東京都の常任委員会の会合が党本部で開かれることはありません。こういうのは、“恥の上塗り”ならぬ“誤認の上塗り”といったらよいのでしょうか。 しかも、党中央の会議での発言ということで党中央の「広報部御中」で「質問状」を送りつけてきたのに、党からの指摘であわてて東京都委員会の会議に切り替えたのでは、まったくつじつまがあいませんし、“共産党攻撃”の迫力も低下します。それを補おうと思ったのか、記事では、天皇との「共存」論に加えて「王室外交必要」論まで、夫人の発言とされていますが、こういう小手先細工は、編集部の意図的な手口をきわだたせるだけです。 そこまでしても、“共産党攻撃”に役立つとなったら妄想のシナリオにあくまでしがみつく、これが、『週刊新潮』という雑誌の編集部の信条なのでしょうか。 “共産党攻撃”記事誕生のいきさつが分かる“共産党攻撃”の記事が一部の週刊誌をにぎわすことは、これまでもよくあったことで、その度に、共産党として、必要な反論はきちんとおこなってきました。しかし、そういう記事がどういうようにして作られるか、そのいきさつまで具体的に分かる場合は、ほとんどありませんでした。 『週刊新潮』のこんどの記事の場合には、編集部と党とのやりとりのなかで、この種の記事の誕生のいきさつが、妄想をもてあそぶその手口や、“事実など問題外”といった執念のこっけいさとともに、手にとるように浮かびあがってきました。 そういう意味では、『週刊新潮』編集部の質問状と日本共産党の回答書は、反共マスコミの実態を知るうえで、たいへん貴重な資料になります。今日は、二つの文書の全文を紙面に掲載しますので、そういう資料として、ぜひご活用ください。 『週刊新潮』の質問状日本共産党 広報部 御中 株式会社新潮社 「週刊新潮」編集部 大谷 剛 拝啓 時下益々、ご清祥の事と存じます。平素は大変お世話になっております。 さて、お電話でもお話させて戴きましたが、不破哲三議長に与える七加子夫人の影響力についてコメントを戴きたいと存じます。不破議長は愛妻家で有名ですが、一部では恐妻家としても知られ、党内にも影響力を持つと聞いております。 昨年11月17日、不破委員長(ママ)は七加子夫人とともにデンマーク女王主催の晩餐会に出席し、天皇、皇后両陛下と同席されました。共産党幹部がこうした会で天皇、皇后両陛下と同席されること自体が初めてであったため話題になりましたが、その翌日、党本部で緊急の常任委員会が開かれ、その席に七加子夫人が出席して「これからは天皇と共存していく」とおっしゃったと聞いております。 そこで以下の項目についてお答え戴きたいと存じます。 1.党内における七加子夫人の肩書を教えてください。 2.常任委員会に出席した七加子夫人の立場をどのようなものなのですか。 3.常任委員会において七加子夫人の発言内容を詳しく教えてください。 4.不破議長がデンマーク女王主催の晩餐会に出席後、貴党は天皇誕生日を祝日にするなど天皇制に柔軟な姿勢を明確にされましたが、これは七加子夫人の発言とどのような関係があるのですか。 5.昨年の参院選で落選された今村順一郎氏の選定に関して、七加子夫人の強力な推薦があったと聞いておりますが、それは事実ですか。 甚だ、突然のお願いで恐縮ですが、コメントは書面等でも構いませんが、何卒、宜しくお願い申し上げます。なお、ご多忙とは存じますが、平成17年1月31日月曜日昼頃までにご返答を頂きたいと存じます。 敬具 日本共産党の回答書株式会社 新潮社 「週刊新潮」編集部 大谷 剛様 2005年1月31日 日本共産党 広報部 おたずねのあった質問に対し、以下の文書を送付し、回答とします。 お問い合わせの項目について回答します。なお、質問は「常任委員会」に関連するものとされていますが、党中央委員会に「常任委員会」という機関はありません。「常任幹部会」の誤記だと思いますので、そう訂正した上で、お答えします。 1、七加子夫人は、中央委員会直属支部に所属する党員です。当日の夕食会には、中央委員会議長夫人としてデンマーク側から招待されました。 2、3、質問書では、夕食会の翌日、つまり11月18日(木)の「常任委員会」で七加子夫人が出席・発言したとなっていますが、常任幹部会の定例会議は毎週月曜日に開かれるもので、18日には、常任幹部会は定例の会議も「緊急」の会議も開かれておらず、そこでの七加子夫人の発言云々もありえない話です。なお、つけくわえれば、七加子夫人が常任幹部会に出席したことは、これまで一度もありません。 4、天皇誕生日を休みにしたことは、世間が休む日は党本部の業務も休みにするということからで、デンマーク女王訪日のさいの夕食会の問題とは関係ありません。 5、そのような事実はありません。国政選挙の選挙区候補者は、都道府県委員会が決定し、中央委員会が承認することになっています。昨年の参院選東京選挙区の候補の場合も、その手続きにしたがい、東京都委員会が決定した候補者を中央委員会が承認したものです。 【補足1】デンマーク女王来日のさいの夕食会にさいして、不破議長夫妻が招待に応じた立場と経緯については、「しんぶん赤旗」の日曜版1月9日付掲載の「不破さん 青年と語る――戦後60年 世界とアジア そして日本」(下)のなかで、不破議長自身が詳しく説明していますので(「デンマーク女王の夕食会に招待されて」の項)、ご参照ください。 【補足2】こういう夕食会に招待されて出席することは、先例のないことなので、出席した不破議長夫妻が、18日午前、党本部内の希望者の集まりで、どんな状況だったかを報告した事実はあります。説明の主旨は、いま紹介した日曜版で不破議長が説明していることとほぼ同じ内容のことでした。これは、希望者の集まりであって、常任幹部会の会議ではありません。 【補足3】天皇の制度との「共存」という考え方は、党綱領の立場を表現したものであって、今回の夕食会の問題を契機に急に言いだしたというものではありません。 いまの党綱領は、昨年1月の第二十三回党大会で決定されたものですが、その案は、一昨年6月の中央委員会総会で確認され、全党の討議にかけられました。その段階ですでに、党中央は、天皇条項にたいする態度を、「共存」という用語で説明してきました。たとえば、一昨年7月の党創立八十一周年の記念演説会で、不破議長は、天皇制にたいする態度を、次のように説明しています。 天皇制が「憲法で決められた制度」である以上、将来、国民の新しい選択がおこなわれるまでは、「私たちの好き嫌いいかんにかかわらず、憲法にある制度として、天皇制と共存するのが道理ある態度だと私たちは考えています」(『報告集 日本共産党綱領』二〇二〜二〇三ページ)。 このように、「共存」という考え方は、以前からの基本的なものであって、デンマークの夕食会に関連して、誰かが何か言ったから、にわかに党の方針となったなどというようなものではないのです。 |

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