2005年2月3日(木)「しんぶん赤旗」

国会の視点

年金集中審議へ動き急

負担増、消費税増税が前提で

国民の安心望めますか


 年金問題をめぐる国会の動きが目立っています。与党は一月三十一日の衆院予算委員会理事懇談会で、集中審議を正式に提案。民主党も代表質問以来、集中審議の要求を繰り返しています。与野党の協議機関の設置を模索する動きもあり、国会の大きな焦点になっています。

増税の誘い水

 国会では、社会保障の財源に関連し、消費税増税に道をひらく議論が、自公与党と民主党との間で、競い合うように出ています。その最大の口実とされているのが「年金の財源」です。消費税増税論議の誘い水として、年金をめぐる議論の促進がはかられているという様相です。

 その発端となったのが一月二十四日の衆院本会議での民主党・岡田克也代表の質問です。岡田氏が「年金保険料が15%を超えることのないような改革が必要で、そのためには消費税の活用が避けられない」と迫りました。小泉首相が「社会保障全体の負担と給付を考える際、消費税の活用も当然検討の対象となる」と応じたことで、一気に消費税論議が加速されました。

 この答弁を「半歩か一歩踏みこんだもの」と評価する民主党は、年金問題での集中審議の開催を提起。与党側もこれに応じ、さらに、集中審議をきっかけに「三月中旬ぐらいには与野党で協議に入れるようにしたい」(自民・中川秀直国対委員長)としています。

 国民の関心が高い年金問題について、国会が、集中的な議論をし、よりよい制度を実現することはもちろん大切なことです。しかし、それが、はじめから国民の負担増と消費税増税を前提としたものであるなら、安心できる年金制度など望むことはできません。

 社会保障制度の見直しについては、昨年五月、自民、公明、民主の三党が、社会保障制度全般について、税・保険料の負担と給付のあり方を含めて一体的な見直しをするとした「三党合意」を結びました。これが与党による年金改悪法案の採決強行にお墨付きを与えました。

 この年金改悪には、各紙の世論調査で国民の八割が「やり直し」を求めました。そのため民主党は、その後の「三党合意」にもとづく協議に難色を示してきました。いまの国会の動きは、このこう着状態を、集中審議を入り口にして打開し、消費税の増税に踏みこむ動きとしてみておく必要があります。

改革いうなら

 消費税は、収入の低い人ほど負担が重くのしかかる不公平な税制です。医療や年金、介護など、本来、弱いものの一番の味方となるべき社会保障の財源に、消費税の増税を持ち出すことほど、国民を痛めつけることはありません。

 いま年金改革で必要なことは、低すぎる年金額や無年金などの問題に正面から取り組むことです。

 日本共産党は、だれもが安心できる年金制度にするため、全額国庫負担による最低保障年金制度をつくることを提案しています。そのための財源は、「大増税、負担増をやめ、庶民の家計を応援して経済を健全な発展の軌道に戻す、巨大開発のムダ遣いを本気で一掃する、大企業と大金持ちに力に応じた負担を求める」(市田忠義書記局長、一月二十六日の代表質問)ことで生み出せます。

 秋野幸子記者



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