2005年2月1日(火)「しんぶん赤旗」

「実感なき景気回復」

日銀リポートが裏付け

“企業もうけても賃金抑制”


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 「実感なき景気回復」を裏付ける日銀のリポートが発表されています。同リポートは企業がもうけをあげても労働者は潤わない原因に、「企業の人件費抑制姿勢が根強い」ことを強調。今後もこの傾向が続くとの見方を示しています。

 「雇用・所得情勢にみる日本経済の現状」と題するこのリポートは、日銀の「調査季報」二〇〇五年冬(一月)に掲載されたものです。「経済成長率がある程度回復し、企業収益は二年以上大幅な増加を続けているにもかかわらず、雇用者所得はいまだ下げ止まりの段階にとどまっているにすぎない」ことが「今回の景気回復における特徴」としています。

 企業側の「根強い人件費抑制姿勢」の背景には、(1)グローバル(地球規模)化などに伴う産業構造の調整(2)企業の収益力強化の動き(3)非正規雇用の拡大(4)経済成長にたいする企業の将来予測が高まっていないことがあるとしています。

 現在、製造業では雇用の大幅な減少が続いています。その一因として同リポートは「グローバル化の進展」があるといいます。「衣服」「繊維」「電機」など国内需要に占める輸入品の割合(輸入浸透度)が高い産業ほど、雇用の減少幅も大きかったと分析。産業のグローバル化は「非技能労働者にとっては、雇用の削減、あるいは低賃金化を促す圧力として働いた可能性が高い」としています。

 また、企業が収益力重視を強めている背景の一つに金融市場のグローバル化を挙げています。企業間の株式持ち合い解消が進む一方で外国人投資家の株式保有比率が上昇。その上、市場の評価次第で企業の買収や再編が実現しやすくなるような税制や法制の改定がされてきたことも収益性重視への圧力になっているとしています。

 同リポートは今後、企業収益の改善が雇用や賃金に波及していくことへの期待感を表明しつつも、企業の人件費抑制姿勢は「構造的なもの」であり、今後とも続くとの見方を示しています。また、家計が支払う公的負担が今後増加するため「個人消費の先行きについてある程度慎重にみておく必要がある」と、小泉自・公内閣がすすめる連続国民負担増にたいして警戒感を示しています。



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