2005年1月29日(土)「しんぶん赤旗」

完全失業率4.4%

12月 臨時雇が6カ月連続増



グラフ

 総務省が二十八日発表した十二月の完全失業率(季節調整値)は、前月を0・1ポイント下回る4・4%となり、一九九八年十二月以来六年ぶりの水準に低下しました。男性は4・6%、女性は4・2%でともに前月より0・1ポイント下がっています。完全失業者数は前年同月比三十万人減の二百七十万人でした。

 就業者数は、前年同月比一万人減の六千三百六万人で、医療・福祉、サービス業でそれぞれ三十五万人増、三十二万人増となったものの、製造業、建設業でそれぞれ三十五万人減、二十九万人減となっています。うち雇用者は五カ月ぶりに減少し同二十三万人減となりました。

 雇用形態別にみると、臨時雇(一カ月以上一年以内の有期雇用)が前年同月比八万人増となり六カ月連続で増える一方、常雇(一年以上の有期または正規雇用)は同二十五万人減っています。

 完全失業率を年齢別でみると、二十四歳以下の男性が8・3%と依然、高水準です。

 同時に発表した二〇〇四年平均の完全失業率は、前年を0・6ポイント下回る4・7%に低下しました。年平均が4%台に低下したのは四年ぶり。年平均の完全失業者数は三百十三万人でした。

 ただ、景気の先行きに不透明感があることから同省では「今後の雇用情勢は微妙な状況」(統計局)と慎重に見ています。


解説

数字とかけ離れた実態

 完全失業率、有効求人倍率は、ともに「改善傾向」を示す数値となりましたが、手放しで喜べない理由があります。

 一つは、失業者を減らしている求人の中身の問題です。東京・新宿職業安定所によると、「求人は増加しているが、契約・派遣などが非常に高い割合」を占め、請負を含めると約四割が有期雇用の求人といいます(厚労省統計は正規と有期の雇用区分はありません)。有期雇用は、労働者にとってはいずれまた失業者となることを示します。

 二つには、失業率が依然高水準にあることです。日本の完全失業率は、一九九四年まで2%台でしたが、大企業のリストラ・人減らしが始まった九八年に4%に急増、二〇〇一年以降は5%以上に悪化しました。「改善傾向」とはいえ、本来の水準からみれば、依然高い水準です。

 三つには、“仕事がありそうにない”として、求職活動を控えている人が百七十六万人もいることです。この人たちは失業者として集計されていませんが、求職活動を始めれば失業率を押し上げることになります。

 これらは、数値と実態がかけ離れていることを示しています。

 畠山かほる記者



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