2005年1月29日(土)「しんぶん赤旗」

世界社会フォーラム

金融取引の国際的な課税求める

世銀・IMFの変革を


 【ポルトアレグレ(ブラジル)=菅原啓】ブラジルのポルトアレグレで開催中の世界社会フォーラムでは二十七日、金融取引への課税などを掲げているATTACベルギーが主催したセミナー「世界銀行と国際通貨基金(IMF)―あしき統治とそれへの対案」が催され、民営化や規制緩和、社会開発予算の切り捨ての構造調整政策などを発展途上国に押し付ける国際金融機関の活動に厳しい批判が相次ぎました。


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国際金融機関の問題点や民主化を扱った世界社会フォーラムのセミナー=27日、ブラジル・ポルトアレグレ(菅原啓撮影)

 ベルギーの研究者フランシーヌ・メストルム氏は、世銀やIMFが貧困縮小を主張するようになったものの、「真の解決策はもっていないことが、この間の経験で明らかになった」と指摘。「重債務国の債務削減を言いながら各国への構造調整政策の押し付けを依然として続けている」とし、国際金融機関が多国籍企業の利益を優先する新自由主義に固執していると批判しました。

 ATTACフランスのジャック・ニコソフ会長は、トービン税など金融取引への国際的な課税措置の実現を強く主張。国際経済のかく乱要因をなくすだけでなく、課税によって得た資金を途上国の開発に回せる意義を強調しました。

 ペルーのサンマルコス大学の研究者テビオ・テイバイネン氏は、IMFや世銀の投票制度が加盟国の出資金比率によって決められ、米国などが全体の動向を左右する投票権を持っている問題をとりあげ、「国連総会のような一国一票制度に改革すべきだ」と主張しました。

 同氏は、金融取引への国際的な課税制度の実現では、米国などによる妨害が当然予想されるが、地球温暖化防止のための温室効果ガス排出削減などを定めた京都議定書の経験から学び、市民運動が各国政府に実現を迫る運動を起こすべきだと指摘しました。

 世界社会フォーラム二日目の二十七日には、十一の主要テーマに沿った大小五百七十のセミナーや分科会で本格的な討論が始まりました。

 世界社会フォーラム スイスのダボスで世界の政財界トップを集めて開かれている「世界経済フォーラム」に対抗して、世界各地の市民団体、労働団体、草の根の運動が結集し「国民の側からの地球規模の連帯」を目指して二〇〇一年から始まった非政府組織(NGO)の国際会議。ブラジルのポルトアレグレで毎年開かれてきましたが、昨年はインドのムンバイ(旧ボンベイ)で開催。地域レベルのフォーラムの開催も呼びかけており、欧州では〇二年から毎年行われています。




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