2005年1月27日(木)「しんぶん赤旗」

公務員の「憲法尊重擁護義務」って?


 〈問い〉 中谷元・元防衛庁長官の依頼で陸上自衛隊幹部が改憲案を作っていたことに驚きと怒りを感じます。それにしても「憲法尊重擁護義務」があまりに軽んじられているのではないでしょうか。憲法のこの規定の意味と重さ、このことでこれまでに問題とされた例などを知りたいのですが? (東京・一読者)

 〈答え〉 憲法99条は、「天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ」と定めています。

 公務にたずさわる人のすべてが、国に法秩序の最高規範である憲法のしめすところにしたがって、偏りや誤りのないように政治や行政を遂行する義務を、主権者である国民にたいして負っていることをあらためて確認している規定です。

 この規定には国務大臣や国会議員などが特別に明示されています。ですから、仮に改憲の立場に立つ政治家であっても、行政や立法にたずさわるときには「憲法尊重擁護義務」が重くあるということです。

 もちろん一般の公務員は、就任にさいして、憲法を尊重擁護するとの趣旨をふくんだ宣誓をおこなうものとされており、行政にたずさわるにあたって、この立場を厳守する義務があることはいうまでもありません。

 1968年に倉石農相が「こんなばかげた憲法をもつ日本はメカケ」という発言をして閣僚辞任にいたったのをはじめ、78年には、自衛隊の栗栖統合幕僚会議議長が「有事のさいは自衛隊は超法規的に行動する」旨の発言で更迭されています。

 しかし、最近では明らかな憲法尊重擁護義務違反の発言をした大臣でも、開き直って在職しつづけるなど、政治の反動化を反映した違憲行為が目立っています。

 今回の例は、現職の幹部自衛官が、軍隊の設置や国家緊急事態への対処、国民の国防義務などの規定をふくむ改憲案を作成していたのですから、軍人の政治関与をつよく否定した「文民規定」(次回で回答)の趣旨にも反する重大な憲法違反行為だといわなければなりません。 (光)

 〔2005・1・27(木)〕



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