2005年1月27日(木)「しんぶん赤旗」 激増する重大労働災害職場問題研究チーム (3)労災根絶をめざして
労働災害の防止・根絶は、労働者の命にかかわるもっとも切実な要求です。いま労働者が職場で出している緊急要求は、次のような五項目です。 (1)生産計画にみあった要員を確保する 企業が生産計画を立てる際、過重な残業を予定しないことはもちろん、有給休暇100%取得を前提にした要員計画とします。また、安全を無視した労働強化、作業量の増大を防ぐため、要員については、労働協約などで職場労働者の合意を必要とするシステムを確立します。 ヨーロッパでは、残業は例外的なものであり、有休も完全取得を前提にして、各企業は生産・要員計画を立てます。日本でも、ヨーロッパ並みの生産・要員計画にすることが急がれます。 (2)労働安全衛生法・関連法令を完全順守する 労働安全衛生法、とりわけ事業者の責務の基本点を規定している第三条(別項1)の順守は重要です。 (3)安全衛生管理体制の確立と強化をはかる 「生産優先」の職場状況のもとで、安全管理体制全体が軽視されるようになっています。厚生労働省「今後の労働安全衛生対策の在り方にかかわる検討会報告」でも、安全衛生スタッフの知識・経験の不足感が高い事業場ほど労災の発生率が高いことが明らかになっています。 労安法第一〇条〈総括安全衛生管理者〉では、企業は安全衛生管理者を選任し、安全衛生管理のための対策・措置として五項目(別項2)を義務づけています。それらを完全順守させるようにします。 労安法第一九条は、常時五十人以上の労働者を使用する事業場には、安全衛生委員会(安全委員会、衛生委員会)を設置することを義務づけています。選任された安全衛生委の労働者委員が、職務を遂行するために、危険の評価と防護措置、防護・予防措置、監督機関および安全衛生機関からの情報、労災が起きたときのすべての情報にアクセスできるようにします。 (4)元方事業者による安全衛生対策を徹底する 本工と下請け労働者の労災の発生率は、下請けが二倍以上も高くなっています。元方事業者(元請け)が責任を持って、下請け・関連事業者との間で連絡・調整し、必要な安全衛生対策を確立するよう、労働協約などによって使用者に義務づけます。 (5)労働基準監督官を増員する 政府に対して、労働基準監督機関の重要な役割である監督指導・捜査のための行政体制の拡充をはかり、労働基準監督官をはじめ職員を大幅に増員します。 (つづく) 別項1 労安法第三条 (1)事業者は、単にこの法律で定める労働災害の防止のための最低基準を守るだけでなく、快適な職場環境の実現と労働条件の改善を通じて職場における労働者の安全と健康を確保するようにしなければならない。―以下略― (2)機械、器具その他の設備を設計し、製造し、若(も)しくは輸入する者、原材料を製造し、若しくは輸入する者又(また)は建設物を建設し、若しくは設計する者は、これらの物の設計、製造、輸入又は建設に際して、これらの物が使用されることによる労働災害の発生の防止に資するように努めなければならない。 (3)建設工事の注文者等仕事を他人に請け負わせる者は、施工方法、工期等について、安全で衛生的な作業の遂行をそこなうおそれのある条件を付さないように配慮しなければならない。 別項2 労安法第一〇条 一 労働者の危険又は健康障害を防止するための措置に関すること。 二 労働者の安全又は衛生のための教育の実施に関すること。 三 健康診断の実施その他健康の保持増進のための措置に関すること。 四 労働災害の原因の調査及び再発防止対策に関すること。 五 前各号に掲げるもののほか、労働災害を防止するため必要な業務で、厚生労働省令で定めるもの。 |