2005年1月23日(日)「しんぶん赤旗」

国連防災世界会議

温暖化でマラリア増

取組み遅れ指摘、国際協力訴え


 国連防災世界会議のパブリック・フォーラム「気候災害と人間の健康」が二十二日、神戸市で開かれました。地球規模での気温上昇が進行すると、マラリアなどの感染症や下痢症などの健康被害が増大することが指摘され、熱波、干ばつ、洪水などの早期警戒システムと被害を事前に予防するための各国の体制強化と国際協力の重要性が訴えられました。

 世界保健機関(WHO)のカルロス・コルヴァラン博士は、フランスなど欧州の熱波で一万四千人もの死者がでたと報告。気温上昇でサルモネラ感染患者が増加するデータや、気温が一度上がると下痢症患者が2・4%増えることを紹介しながら、人の健康を脅かす予兆が地球温暖化によってでているとしました。被害をおさえる早期警戒システムが必要だと強調しました。

 米国の国立大気研究センターのマイケル・グランツ博士は、健康を脅かす気候変動へのとりくみが「四十年間、遅々として進んでいないが、つぎの段階にあげましょう」と訴え、アスベスト被害やオゾン層破壊などの教訓から、予防原則を重視し地球温暖化による健康被害を事前にふせぐための行動をおこすようアピールしました。


津波早期警報で議論

既存システムどう活用

 インド洋の津波早期警報システムの構築などを論議した国連防災世界会議をうけ、国連関係機関や各国の防災機関担当者らは二十二日午後、インド洋の早期津波警報システムの構築をテーマとした特別会合を開きました。現在機能している地震や潮位観測ネットワークなどの活用や今後のグレードアップ(格上げ)の構想などを議論しました。主催したのは、国連国際防災戦略(ISDR)と国連教育科学文化機関(ユネスコ)の政府間海洋学委員会。

 同会合では、ハワイ大学のベルナルド・キロンスキ博士が、インド洋・太平洋地域に展開している潮位観測ネットワーク(グロス)が津波監視、気候変動による海面変動監視に役立つことを報告。

 国連防災世界会議のインド洋津波の特別セッションでの議論を報告した長坂昂一気象庁長官は、今週からグロスネットワークのひとつであるスリランカ・コロンボの潮位観測データが気象衛星経由で即時に気象庁の津波観測システムに入るようになり、暫定的に同庁が始めるインド洋の警報に生かせるようになったことを報告しました。

 ローラ・コング・ユネスコ国際津波情報センター長は、津波早期警報システムを構築するために、既存の地球規模の地震計ネットワークを発展させて活用することが必要だと指摘。危険地域のハザードマップ(浸水予測図)づくりとリスクアセスメント(影響評価)をおこない、あらゆる危険を想定した津波につよい地域づくりが大事だと強調しました。

 日本の防災科学技術研究所は、インド洋地域からアジア地域での地震、噴火、津波災害を軽減するリアルタイム(実時間)観測ネットワーク(ダフネプロジェクト)をことし四月から始めることを報告しました。



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